取材の現場から 東京電力の二次破綻回避へ 4月と5月に計2,000億円の社債償還控える

個別 取材の現場から 連載


東電(9501) 日足1年 MA(25-75)

東電(9501) 日足1年 MA(25-75)

東京電力(9501)は1月4日、福島復興本社を設置。これで本格的な賠償、除染が始動するということだが、賠償や除染の進捗は、東京電力の「二次破綻」と裏表一体だ。

東京電力は昨年7月末、原子力損害賠償支援機構からの出資金1兆円と、国からの資金援助枠5兆円を得て、破綻を免れた。が、国が認可した東京電力の資金見通しは極めてずさんで、これだけでは金が足りない。

まず、原発事故に伴う賠償、除染、廃炉費用が不十分。東電の資金計画のベースは、政府の「東京電力に関する経営・財務調査委員会」によるものだが、同委員会の試算を見ると、賠償は事故から2年分のみで、今春以降の被害額は考慮されていない。船舶や航空機の航行や飛行禁止措置による損害など、試算に盛り込まれていない被害も多数ある。除染費用も、推計不能として含めていないのだ。昨年末、米軍兵士が東京電力を提訴したが、こうした予期せぬ賠償も増えていくだろう。

東京電力が想定する賠償費用は4兆5,402億円だが、日本経済研究センターは20兆円という試算を示している。東電の見通しは甘いと言わざるを得ない。

加えて、コスト増要因もある。東電は来期、柏崎刈羽原発7基が稼働する前提で資金計画を立てている。再稼働すれば、5,460億円のコスト削減効果があるという。が、参院選を控えている以上、世論の反発の強い再稼働を自民党もなかなか判断できないだろう。また、アベノミクスによって円安にシフトしているが、これも東電のコストを圧迫する。10円の円安で2,950億円のコスト増になるという。

東京電力の資金不足は深刻だ。そのことは東電自身が十分承知している。昨年11月7日に東電は会見で5兆―10兆円足りないと訴え、政府の追加支援を求めた。

「東京電力は4月と5月に計2,000億円の社債償還を控えている。そうなると逆算して、2月までにあらためて政府に、追加支援を要請しなければ間に合わない」(経済ジャーナリスト)

そこで持ち上がるのが、法的整理。倒産させて債務を確定させた方が妥当だという議論だ。

しかし、自民党政権が選挙前に、高齢者を中心に70万人もの個人が保有する東電株を紙切れにする選択は取りづらい。法的整理になれば、銀行からの多額の融資も焦げ付いてしまう。「だから、数億円の支援増額を行い、問題を先送りする確率が高い」(政治評論家)というのがもっぱらの見方だ。

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