特報 T&Cホールディングス 資本増強策に成功だが…

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注目される年明け11月本決算発表

11月12日、T&Cホールディングス(3832・JQ)が、ライツオファリングの権利行使結果を公表した。

権利行使率は79.58%と、9割超がほとんどという中では決して高い行使率ではなかったが、とにもかくにも2億6,748万円相当の資本増強策に成功した。

T&Cは2013年11月期第3四半期末(13年8月末)時点で約6億円の債務超過に陥っていて、今期末までに債務超過を解消しないと上場廃止になるところだった。

9月12日の第三者割当増資で1億5,300万円まで債務超過額を減らせていたので、今回2億6,748万円の増強ができたことで、1億1,442万円の資産超過状態になった。

T&CHD(3832) 日足6カ月

T&CHD(3832) 日足6カ月

これでめでたく債務超過脱出と相成ったわけだが、これで安心というわけにはいかない。今期の業績予想を会社側が公表していないので何とも言えないが、今期は第3四半期までの累計で営業赤字が2億5,700万円で最終赤字が2億円。第4四半期の売上高や営業損益が第3四半期とほぼ同額で、減損などの特損がなければ、あと7,000万円ほど、営業損益にも純損益にも赤字が加わる。

期末で1億1,442万円のうち7,000万円ほどが食われてしまうと残りは7,000万円ほど。今期は8,700万円、前期は9,400万円の赤字を第1四半期で計上しており、来期が今年並みの成績だと、来期は第1四半期から再び債務超過に逆戻りしてしまう。

現在のT&Cの事業は、ETF(上場投信)関連の事業、金融アドバイザリー事業といったもともとの本業、もしくは本業由来の事業に、医療機器の製造販売事業を加えた3つ。このうちETFは第3四半期時点で4,300万円弱の売上高に対してその倍以上の9,300万円の営業赤字。金融アドバイザリー事業も、わずか221万円の売上高に対し、その10倍以上の2,448万円の営業赤字を計上している。この2つの事業が来期初からいきなり復活すると信じられる材料は現状出てきていない。

残る医療機器の製造販売はもともとの本業とはほとんど縁がない事業で、株主や役員の個人的なツテが頼り。第3四半期までの累計で2億6,547万円の売上高があるから、ボリュームで言えば今やこれがこの会社の本業だが、ここも1,000万円弱の赤字だ。

上場前からこの会社は特許権に投資する事業を手掛けており、医療機器との縁は特許権ビジネスらしいが、これで活路が開けるとは思えない。まだまだ受難の日々は続きそうだ。

そもそもこの会社、06年に上場したときは投資情報提供が本業だった。日本株、中国株、為替などのニュースや分析レポートを証券会社や情報ベンダーに提供するビジネスで、四季報を模して、「中国二季報」なんてものも出していた。

上場2年目の07年11月期は投資情報提供サービスだけで10億円の売上高で2億4,000万円の営業利益を計上していたし、このときは金融アドバイザリー事業でも3億円近い営業利益を稼ぎ出していた。

だが、リーマン・ショック後はみるみる業績が悪化。投資情報提供事業がついに6,300万円のセグメント赤字に転落したのが前期の12年11月期。同事業は前期末を待たずに昨年11月1日付で売却している。

がけっぷち状態が続くことは明らかなのに、12日の権利行使の結果発表を待たずに株価は上昇を開始。11月初旬には1万5,000円近辺だったのに、11月22日には高値5万3,000円を付ける勢いだ。

だが、T&Cはまだまだ瀕死(ひんし)の状態が続いていることは間違いない。第一、決算はフタを開けてみなければ分からない。11月決算のT&Cの決算発表は順当に行けば1月中旬ごろだが、前期はみずほ銀行に預金と貸し出しの相殺を主張され、資金繰りが逼迫(ひっぱく)したために1カ月遅れて2月中旬の発表になった。今年は何事もなく1月中旬に開示されるかどうか。注目だ。

T&Cの業績推移
売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産
現預金 映画制作費・特許
2006/11 1,185 185 158 105 1,834 235 502
07/11 1,448 266 229 126 3,221 481 1,165
08/11 1,265 △180 △289 △563 2,738 214 1,032
09/11 1,169 △232 △381 △358 2,230 74 874
10/11 850 △182 △287 △202 1,761 45 759
11/11 569 △257 △355 △468 1,010 6 153
12/11 506 △420 △435 △328 749 250 131
13/11-3Q 310 △257 △177 △202 695 46 118
T&Cの業績推移(2)
純資産 有利子負債 期末株価 PER PBR
資本金等 利益剰余金
2006/11 763 548 61 628
07/11 1,574 972 188 1,264 122,951 12.4 1.5
08/11 1,332 1,215 △375 873 120,952 △2.8 2.4
09/11 893 1,226 △734 636 43,782 △1.8 1.8
10/11 838 1,421 △936 580 76,469 △6.4 4.4
11/11 4 1,421 △1,368 606 14,694 △0.6 74.7
12/11 △242 1,537 △1,696 511 5,548 △0.4
13/11-3Q △660 1,537 △1,961 698 16,893 △1.7

※金額の単位は株価以外は100万円。PER、PBRは単位倍。

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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