トップインタビュー 菊池製作所(3444) 菊池功代表取締役社長 介護関連ロボット市場で存在感

インタビュー 個別


「マッスルスーツ」の反響大きい
「ものづくりメカトロ研究所」が活躍

菊池功社長

菊池功社長

11月17日朝のNHKの番組で菊池製作所(3444・JQ)が登場し株価は急動意を示した。その番組の内容は介護ロボットに焦点を当てたもの。カメラやモバイル、自動車電装品などハイテク機器の試作品開発に強みを持つ菊池製作所だが、「モノ作り」の強みを活かして、介護ロボット市場への本格参入を目指している。番組にも登場した菊池功社長(写真)に事業戦略をインタビューした。

――介護ロボット開発のきっかけは。

菊池 時計、事務機器からデジタルカメラ、携帯電話に広がり医療機器の試作品加工も手掛けている。複数の大手精密・電機メーカーから絶えず新しいものが同社に持ち込まれた。しかし、企業成長のためには、受託生産に偏ることを打開し自社製品を作りたいと考え2006年に「ものづくりメカトロ研究所」を設立した。これと10年以上研究開発を進めていた複数の大学との産学連帯と、医療介護とメカトロニクスの融合という社会のトレンドの要素が後押しして、これがある意味、介護ロボット市場へ進出するベースとなった。

マッスルスーツ®

マッスルスーツ®

――どのような展開を行っているか。

菊池 介護ロボット事業を展開する上での柱は、共同研究先の大学と連携して事業化、企業が開発したものを受託生産するパターン、そして、オリジナルの自社開発ブランドがある。大学との連携例では、東京理科大学工学部小林研究室が2001年から開発を続けてきた着用型筋力補助装置「マッスルスーツ(R)」がある。当社は設計と、製造、組立、メンテナンスを担当。体力を使う抱きかかえ時の補助として威力を発揮するが、11月6日から9日の期間に東京ビッグサイトで開催された「国際ロボット展」に共同展示して注目を浴びた。介護関連現場での実証試験が開始され、関連企業からの受注確定もある。マッスルスーツの強みは、介護分野だけでなく、物流をはじめとした肉体労働者が対象となることだと認識している。

また、国際ロボット展には、大和ハウス工業が自動排泄処理ロボット「マインレット爽」を出品していたが、この自動排泄処理ロボットは当社が受託生産しているものでもある。ちなみに、介護分野に限らず共同研究先の大学は東京理科大のほか、東京大学、早稲田大学、東京工科大学、東京工業大学、岐阜大学、首都大学東京など多大学に上る。

――自社開発ブランドにはどのようなものがあるか。

菊池 医療関連の自社開発ブランド製品としては、センサーと一体化した指に乗るほどの超小型のマイクロポンプがある。輸液ポンプや投薬関連に適応する製品で、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から業務委託を受けた燃料電池関連研究から派生して生まれたものだ。このほか、震えを抑えて食事や文字を書く時の補助機能を持つ「書之助パームサポーター」や長時間楽に歩ける「楽ウォーク」などがある。こうした自社オリジナル開発品を伸ばしていくことで社員のモラル、意欲を高める効果もある。

――介護ロボット市場の特性ついてどう感じているか。

菊池 展示会などで反応の大きさを肌で感じている。過去3、4年間で大きな流れが形成され始めた。介護機器は介護のパターンが多彩なために大量生産に適さない分野でもある。使う人、使われる人それぞれに調整が必要なデリケートな製品特性を持つことから、モノ作りに特化した中小企業、そして日本国内での生産にマッチした分野ともいえる。

――最後に今後の方針を。

菊池 福島県にある生産拠点では、震災後も操業を継続しているが、従業員の中には住居の避難を余儀なくされ1時間以上かけて通勤している者もいる。こうした厳しい現状の中、研究開発テーマ「自立支援サポート装具開発」については、福島県から補助金の採択も決定している。一括一貫体制を背景としたユニット・装置単位での既存事業の受注を強化し、ものづくりメカトロ研究所における、マイクロ流体デバイス、医療・介護系ロボット開発など、自社開発製品の事業化を推進していきたい。

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