取材の現場から ビッグローブ売却で動き出す業界再編

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台風の目はフリービット ソニー、楽天の思惑も交錯

NEC(6701)が、傘下のISP(インターネット・サービス・プロバイダー)大手のビッグローブ(未上場)を売却するという。

「2年ほど前からNECは売却相手を探しており、『トッパ!』などISP事業に力を入れ始めた光通信(9435)への売却も模索していた。一方でNEC内には、黒字のビッグローブを手放すことへの反発もあった。結局、金融機関に押されて、キャッシュを得ることを優先することになったようだ」(NEC関係者)

11月にも入札を始めると伝えられるが、これがISP業界再編の起爆剤になるとの見方もある。

かつて、ビッグローブはIIJ(3774)ニフティ(3828・2部)と統合を模索した時期もあり、2009年に3社はシステム統合の協議に乗り出していた。ところが、その後、ニフティの売却に絡んで富士通(6702)内部で紛争が起き、10年には社長の解任騒動に発展。これでISP再編は遠のいたとされる。12年にはソニー(6758)が傘下のソネットを完全子会社化し、上場廃止するなどの動きもあった。

さて、今後の動向として、楽天(4755・JQ)の動きに着目する向きもある。ISPシェア2位のビッグローブを傘下に入れれば、300万人もの会員に対して物販などでダイレクトにアプローチすることができる。

フリービット(3843) 週足

フリービット(3843) 週足

「その中で注目すべきはフリービット(3843・東マ)の動きだ。07年に東京電力(9501)からドリーム・トレイン・インターネット(DTI)というISPを買収。同時期に楽天も東電から、フュージョン・コミュニケーションズという通信事業会社を取得。フリービットの石田社長は、楽天の三木谷が立ち上げた新経連の監査役を務めており、両者の関係はいい」(通信業界筋)

フリービットといえば、富士通がニフティの売却相手として交渉していた会社だった。そのフリービットの社外取締役は、ソニー元CEO(最高経営責任者)の出井伸之氏だ。ソニーはお荷物のソネットのリストラを考えているようだが、「そもそもソネットを立ち上げたのは出井氏。ソネットには思い入れがある」(前出・業界筋)とみられている。そんなことも含めて、フリービットがISP再編の台風の目とみられている。

ISP業界はOCNや「ぷらら」などを運営するNTT(9432)グループが強い。今回の再編は、NTTの対立軸が誕生するか否か、また、将来性のないISP事業の新たなビジネス展開をどう示すのか、その辺が注目点となる。

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