取材の現場から 業務改善命令後も揺れるみずほ 問題の本質は「反社」ではない

個別 取材の現場から 連載


みずほFG(8411) 週足

みずほFG(8411) 週足

みずほ(8411)は、一体どうなっているのか。金融庁から業務改善命令を受けたが、その後のみずほ側の説明は極めて不十分。「何を隠そうとしているのかとすら見えてくる」との声も聞こえてくる。報道は「暴力団融資」と煽り、反社会的勢力(反社)との関係も示唆。ドラマ「半沢直樹」が描いた、銀行のドロドロとした裏側を想起させる事態であり、世間の耳目も集めている。

しかし、今回の問題の本質は「反社」ではない。「現に警察はこの件では蚊帳の外」(警察庁担当記者)で、特定の反社の摘発事件には拡大しないという。

「金融庁が問題にしているのは、みずほが何も対策を講じなかったことだ。金融庁は『われわれを舐めているのか!』と、相当怒っている」(みずほ以外のメガバンク)。

オリコ(8585) 週足

オリコ(8585) 週足

みずほは2010年10月、オリコ(8585)への提携融資で反社に対する自動車ローン融資などが2億円あまりあることを知るが、その後何もしなかった。12年12月には検査で金融庁の知るところとなった。みずほは反社融資を引き上げたが、融資審査や管理体制の見直しには手を付けなかった。そこで業を煮やした金融庁が今回、業務改善命令を行ったわけだ。みずほのサボタージュに対する措置であり、事のポイントは反社の存在ではない。

「そもそも金融庁は、反社に融資をしてしまうこと自体をルール違反としていない。意図的なら問題だが、気付かなかったのなら仕方ないというスタンス。これが銀行と金融庁の〝約束”だ。しかし、その事実が分かったときは、速やかに対処し、改善するよう命じている。みずほは今回、それをしなかった」(前出メガバンク)。

みずほは金融庁に、「反社融資の情報は担当役員までしか知らない」と説明したが、ここへきて歴代頭取にも情報が伝わっていたことが分かった。単なる不作為ではなく、隠蔽(いんぺい)の可能性も出てきた。金融庁の怒りは収まらない。

銀行業界は今後、反社融資対策の強化に取り組むことになる。既に全銀協は、警察と連携強化する方針を固めた。

各銀行は、警察が反社と認定している人物や団体だけでなく、独自のプラスα情報も加えた「反社リスト」を作成しているという。今回のことで、みずほ以外の銀行も、系列の金融機関と反社リストの共有を進めるとしている。しかし、個人情報保護法との兼ね合いで、情報共有には法制度的なハードルがいくつもある。そのせいで「しばらくは、融資判断に慎重になってしまうのではないか」との声も出ている。

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