取材の現場から トヨタHVの牙城を崩すホンダ 三井ハイテックVS黒田精工の代理競争も

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国内の自動車市場はトヨタ(7203)の1人勝ち状態が続いてきた。その推進力はハイブリッド車(HV)だった。毎月の新車販売ランキングでは、トヨタのHV専用車のプリウスとアクアがトップを争う展開が長く続いてきた。

ところが、ホンダ(7267)が今月発表した新型フィットは、トヨタを上回る世界最高の燃費効率を達成。トヨタのアクアが1リットル当たり35.3kmなのに対し、フィットは36.4km。値段もアクアの169万円に対し、フィットは163万5,000円と安い。走行性能も引けを取らないので、フィットがランキングトップを取るのは間違いないとみられている。

また、トヨタは、クラウンやカローラで高性能のHVを設定し、全車種にHVタイプを設定する方針だが、ホンダも軽自動車を除く全車種にHVを設ける方針を示し、トヨタの国内HVシェア7割を崩しにかかる勢いだ。

ホンダは2009年にHV専用車インサイトを出したが、直後に発表された3代目プリウスに惨敗。そのリベンジとして、満を持してフィットHVを出したという経緯もあり、メディアもホンダとトヨタのHV対決を面白おかしく取り上げている。

劣勢となっているトヨタだが、意外にもホンダの参戦を歓迎している。

「HVではトヨタが独走状態だ。ライバル不在で社内も緩んでいたから、これで引き締めになる。また、HVは日本以外で売れず〝ガラパゴス化”が懸念されていた。しかし、ホンダがHVに本格参入したことで、HV普及の仲間になった」(トヨタ関係者)

とはいえ、燃費トップの座を奪われたイメージ低下は痛い。トヨタがフィットの燃費を抜くのは、15年に予定している4代目プリウスの発売を待たねばならならず、2年もの長期間、フィットの後塵(こうじん)を拝することになる。

トヨタは次期プリウスの燃費を10%向上させる方針とのことだが、現行の32.6kmを10%改善しても35.86kmにしかならず、フィットを下回っている。値段の問題も含め、トヨタは相当高いハードルを越えねばならなくなった。

ところで、「フィット対アクア」にはもう1つの対決の構図がある。HV用電動モーターの回転部となる「モーターコア」と呼ばれる部品があるが、トヨタのHVは三井ハイテック(6966)が一手に担ってきた。しかし、フィットのモーターコアは黒田精工(7726・2部)が受注している。ホンダ対トヨタのHV対決は、部品メーカーの対決でもあるのだ。

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