どうなる東京メトロのIPO 国、メトロは準備OKだが…

個別


「東京五輪決定を契機に“宙ぶらりん”状態にある東京メトロ(保有割合は政府53.4%、東京都46.6%)の株式上場計画が進展するのでは」――こんな声が市場の一部で聞かれるが……。

営団地下鉄から株式会社に衣替えした2004年に施行された「東京地下鉄株式会社法」によって、政府はできるだけ早く東京メトロの株式を売却しなければならないことになっており、政府は株式上場による完全民営化を目指すスタンス。

東京メトロにしても「上場に向けてグループ全体のガバナンス、情報開示体制などを整備し、上場に向けた体制は整っている」(東京メトロ・広報)という状態にある。

にもかかわらず、いまだ上場していないのは、「東京都が都営地下鉄との東京メトロの“経営一元化”が先決という姿勢を崩していないことに尽きる。一方、国および東京メトロは、都営地下鉄が多額の負債(有利子負債、無利子負債の合計で約1兆円)、累積損失(約4,000億円)を抱えていることから、経営一元化に否定的。現状のまま経営一元化すれば、東京メトロの株主価値を損ねることが目に見えている」(市場関係者)。

累損解消→経営一元化→上場というコースにしても、「都営地下鉄は年間百数十億円の利益を出すようになったとはいえ、あれだけ多額の累損を解消するには何年かかることやら。そのコースも非現実的」(同)。

東京都にしても「都民のサービス改善が第一。東京メトロから年間50億円の配当収入もあることも勘案すると、株式を売らないといけないという立場でない」(東京都整備局都市基盤部地下鉄改革担当)。そんなこんなでこれまで東京メトロは“宙ぶらりん”状態が続いてきた。

今後、オリンピックを視野に入れ、「地下鉄8号線(豊洲-住吉間)延伸事業」「成田-羽田を結ぶ都心直結線構想」など官民を挙げて東京の輸送体制の強化に乗り出すことは決定的。

東京の大動脈、地下鉄事業者も無縁ではないが、これまで両者の主張は長らく平行線をたどってきた経緯があるせいか、「五輪があるからといって東京メトロを巡るわれわれの主張は簡単に変わるものではない。国の主張も変わるとは思えない」(同)、「正直に申し上げて五輪決定を受け、経営一元化、上場計画が進むという認識はない」(東京メトロ・広報)とのこと。

公益事業である東京メトロの上場の是非という“そもそも論”も都側は指摘。国が大株主となっている日本郵政は2015年秋に上場予定だが、東京メトロは一筋縄ではいかないようだ。

戻る