いきなり海外上場 シンガポールを選んだ理由 18日、カタリスト新規上場予定  ジークホールディングス 小林学社長に聞く

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ジークホールディングス 小林学社長

ジークホールディングス
小林学社長

日本の取引所を経ずして、海外市場に直接上場する動きが活発化しつつある。昨年8月にパチンコホール大手のダイナムジャパンHDが香港市場に上場して話題を集めた。そして前週8月27日には、シンガポール証券取引所(SGX)が、ジークホールディングスの新興企業向け市場「カタリスト」上場申請受理を発表。再来週18日の新規上場が予定されている。同社は、製造業のアウトソーシング事業を担う中小企業群を傘下に持つ純粋持ち株会社。小林学社長(写真)に、あえて海外上場を選んだ背景などについて話を聞いた。

――今回の上場に至る経緯を聞きたい。

「当社は、『実力ある中小企業が力を合わせて生き残りを図る』をコンセプトに、経営統合を進めてきた『参加型ホールディングカンパニー』だ。研究開発や、仲間を増やすためのM&A(企業合併・買収)などの資金需要が旺盛なほか、知名度向上や優秀な人材確保に向けても、かねて株式上場を指向してきた。最初に、前身企業の1つ、ニュートラルが上場を目指したが、当時は、まだ売上規模が小さく、いったん断念した。2006年に東京と名古屋の各連合体などの統合で当社が設立され、この時はJASDAQ上場に向けた予備審査まで進んだが、08年秋のリーマン・ショックによって頓挫することになった」

――それが、なぜ、「シンガポール上場」へと転じることになったのか。

「顧客である大手メーカーの東南アジア進出が進む中、追随する必要も生じていたという面はあるが、現在の当社の実体は、あくまでも日本にある。当初は、やはりJASDAQをメーンに考えた上で、並行して、韓国・コスダック、香港・ジャム、そしてシンガポール・カタリストの各新興企業向け市場でも上場の可能性を探った」

――最終的にシンガポールを選んだのは…。

「理由は4つある。(1)今後のASEAN(東南アジア諸国連合)でのビジネス展開を考えた、(2)コンピューター言語は世界共通。日本での人材確保が難しくなる中、アジアの優秀な学生採用に魅力を感じた、(3)グローバルスタンダードの市場で、上場後も2度目、3度目のファイナンスを実施しやすい、(4)シンガポール政府が企業誘致に熱心――などだ。昨年9月時点で、ここに絞り込んでいた」

――上場基準などは。

「カタリスト市場では『スポンサー』となる金融機関がOKを出せば、上場可能。日本の『プロ向け市場』に似た仕組みだ。現地の大手銀行にも手を挙げてもらったが、同市場で一番の実績を持つブティック型の『プライムパートナーズ』にお願いした。ただ、書類作成一つ取っても即断即決型のシンガポールと何事にも慎重な日本とのカルチャーの違いは大きく、ここにたどり付くまでにはさまざまな苦労もあった」

――上場時の資金調達規模はどのくらいか。

「最終的には600万―650万シンガポールドル(約5億円)になりそう。来週、現地でロードショー(機関投資家回り)を予定するが、既に賛同を頂いている」

――初値はどの程度が予想されるか。そして日本の投資家は買えるのか。

「事前に1対3,000分割を実施しており、初値は日本円換算で20円程度ではないか。1,000株単位のため、約2万円の購入資金が必要となる。まだカタリスト銘柄を扱う証券会社はほとんどないが、今回の上場を機に、東海東京証券を通じて日本の投資家も売買できることになった。今後、徐々に増えていくのではないか」

――業績動向はどうか。

「IFRS(国際会計基準)ベースで、前3月期売上高が55億8,800万円(前年比15.5%増)、税引き前利益は減益だが、上場費用を除けば1億6,800万円(同3.7%増)。今後も海外市場開拓や新分野進出などから順調な増収益を目指していく。顧客目線に沿った日本のノウハウは世界で通用する。海外売上比率は3年後に最低でも10%以上としたい」

――将来的に東京市場への上場意向はあるのか。

「いずれは東証1部を目指したいが、社内には『日本にこだわらず、むしろシンガポールのメーンボードを目指すべき』といった声もある」

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