特別インタビュー レオス・キャピタルワークス 藤野英人CIO 2015年は「本格的なアクティブ投資元年」

インタビュー


探せ!日本を変える大型株経営者20人

藤野英人CIO波乱の幕開けとなった2015年相場。ファンドマネージャーは相場をどう読み、どのような投資戦略を考えているか。独立系運用会社レオス・キャピタルワークスの藤野英人CIO(最高運用責任者)に聞いた。同社は運用残高を積み増しており、公募投資信託「ひふみ投信」「ひふみプラス」で合計360億円弱。国内外の年金や国家ファンドなどを含めると運用残高約840億円。

■2015年相場の概観

「昨年は日米とも堅調で下落相場を待つ雰囲気が生じていたところへ原油急落やパリのテロなどがあり下落。今後1-3カ月程度、調整があってもおかしくない」

「米国のゼロ金利解除はいつか起こることで、待ち受けできる話。バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)前議長発表で揺れた『5・23ショック』を先例に、米国当局が利上げメッセージ→相場下落→実際の利上げでは織り込み済みの反応――といった展開になるのでは。何より地政学的リスクが怖い。本年はボラティリティが結構高くなるとみられ、慎重な対応が求められる。長期視点で確かな銘柄選別をしなければならない」

■投資着眼点

「今年外せないのがROE(自己資本利益率)。大型株のROE改善が大きなテーマとなる」

「日本には2匹の巨大なタヌキがいる。1匹は現預金870兆円に達する個人金融資産、もう1匹は剰余金の形で300兆円を貯め込んでいる企業。アベノミクス以降、官邸、自民党、財務省、金融庁、経産省、日銀は『個人と企業はキャッシュを持ち過ぎている』との共通認識を持って、消費や投資にお金が回るよう策を繰り出している。NISA(少額投資非課税制度)もその一環。黒田バズーカの本質も870兆円を“木の葉”に戻すことにある」

「もう一匹、寝ているものがいる。機関投資家というキツネだ。キツネは狩りもせずぶくぶく太っている。アクティブファンドといってもインデックスファンドと似たようなものが多いが、政府は太ったキツネが太ったタヌキの追い出し役を務めるようハッパを掛けた。1つが機関投資家に企業との対話を促す『スチュワードシップ・コード(機関投資家のあるべき姿を定めた行動規範)』の策定。議決権行使助言の大手であるISSも5年平均ROEが5%を下回る場合、株主にトップ選任議案に反対するよう勧告した。これらによりキツネとタヌキの間にいい緊張感が生まれる」

「いまや『お金を回す』『ROE向上』が国是。設備投資、配当など株主還元、従業員給与引き上げなどにお金を使うタヌキが増える。眠るタヌキが行動すると“変化率”は大きい。『眠り続けるタヌキ』と『行動するタヌキ』の格差、つまり大型株の間で株価格差が拡大するとみており、これを的確にとらえた人が大きな投資成果を残そう。後から振り返って、本年はアクティブ運用が大型株にも広がった『本格的なアクティブ投資元年』といわれるのでは」

■「経営者も見て判断」選別のポイントに

「大型株はどちらかというと損益計算書や貸借対照表などを引っかき回し投資判断するのが主流と思われるが、スチュワードシップ・コード策定などを受け、『経営者も見て投資判断』するようになるとみている。コーポレートリーダーシップのあり方も変わり、柳井さんや孫さんに近い経営をする人、中小型株の経営者と話をするのと同じような感覚で意見交換できる経営者も少しずつ増えてくるだろう。何せ東電の次期会長候補にLIXILの藤森会長の名前が挙がる時代。『日本を変える大型株経営者20人(20銘柄)』はきっと出てくる」

「こうした中、当社は本年、時価総額3,000億円以上の大型株にも投資する。来たるべき時に備え、トヨタのIR(投資家向け広報)を経てゴールドマンなどでアナリストをし、大型株に強い川崎さつきさんを採用するなど陣容強化済み。『ひふみプラス』は長期投資育成につながることから取り扱い地銀が増えており、昨年12月からふくおかFGも販売開始。日本各地の地銀と連携し、将来的に47都道府県すべてに広げたい」(本紙1月23日付)

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