米国株投資「普及への道」 マネックス証券・佐藤歩執行役員に聞く

インタビュー


マネックス証券・佐藤歩執行役員

マネックス証券
佐藤歩執行役員

10月取扱高は過去最高に

米国株の強さに関心が寄せられている。最近、「日本発の世界同時株高」が話題を集めたとはいえ、日経平均は依然、1989年最高値の半値にも満たない。一方、同じ期間で水準を6倍強に切り上げ、一貫して最高値更新をたどるのがニューヨークダウだ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が外国株比率を25%に引き上げたように、投資のグローバル化、ボーダーレス化が急速に進む中、日本の投資家にも、直接投資の対象としての米国株が徐々に浸透しつつある。米国株取引に力を注ぐ証券会社と言えば、3年前に米トレードステーション社を買収したマネックスグループ傘下のマネックス証券が挙げられよう。同社の佐藤歩執行役員(写真)には、9月26日付本紙で「米国株の魅力」を聞いたが、今回は“続編”の形で、米国株投資の国内投資家への浸透状況や、今後の普及への取り組みなどについても話を聞いた。

――実際のところ、米国株取引は増えているか。

「具体的な金額などは開示していないが、当社の10月の約定件数は過去最高を記録している」

――過去最高の約定件数はいつ以来か。右肩上がりの伸びをたどってきたのか。

「ここまでの経過をたどると、まず昨年12月、日本で初めて米国株の特定口座対応を実現したことを受け、一気に取引急増となった。この月の記録を抜いたのが今年7月で、以降は9月、そして10月に記録更新している。基本的に右肩上がりとみていいだろう」

――特定口座対応は今でもマネックスだけか。

「近く対応すると発表した証券会社もあるようだが、現時点では当社だけだ。各種システム対応に力を注いできた結果だと考えている。もちろん、米国株分野における当社の強みは、米国の大手オンライン証券であるトレードステーションとの相乗効果にある。国内では断トツの取り扱い銘柄数(約3,200銘柄)や手数料の低さなどだ。同社のシステムを通じては、決算など米国株の情報の提供も行っている」

――米国株の投資家は、日本株オンリーの顧客とは層が異なるのか。

「日本株のみ取引をされている方よりも、若干年齢層が若い傾向にあり、10代ほど若い方が中心にお取引されている。また、男女比で見ると9対1とやや偏った構成になっている。とはいえ、年齢構成を時系列で追うと、このところ20歳代の比重が着実に高まっており、変化の兆しが強まってきていることは確かだ」

――若い層の間で米国株投資が増えている理由は何が考えられるのか。

「かのウォーレン・バフェット氏も指摘するように、自分がよく知っている商品やサービスを提供する企業の株を買うのは投資の王道と言ってもいい。その点で、アップル、フェイスブック、ツイッターを日常的に使いこなす向きが投資先にも米国株を選ぶのは、自然の流れかもしれない」

30歳代の利用者急増中

――顧客層の裾野拡大に向けて、どのように取り組んでいるか。

「例えば、営業部門に『アクティブ・トレーダー部』という専門チームを設け、弊社ストラテジストとも密に連携して、各地でのセミナー開催や、米国からの現地レポート発行などを行ってきた。国際相場急変時には緊急イベントなども開催した。今夏、東洋経済新報社が『米国会社四季報』が発行したが、われわれの働きかけもあって実現したものだ。なお、最近の米国株セミナーでは女性の参加者も増え、著名な海外ブランド企業の紹介なども行っている。米国株売買の男女比も、遠からず(日本株と同程度の)7対3程度に移行していくのではないか」

――欧州株やアジア株は「対象外」なのか。

「『米国市場に上場する外国株』として、7月からADR(米国預託証券)の取り扱いを開始した。情報開示のしっかりした米国市場の方が、各国現地市場よりもむしろ安心して投資できる面がある。中国企業のアリババも同様だ。9月19日のアリババ新規上場日は、当社の売買代金の3分の1がこの銘柄で、かつてないほどの集中ぶりとなった」

――米国株の一段の普及浸透に向け、何か“起爆剤”はあるのだろうか。

「本格的なシステム対応が必要になってくるが、米国株でも信用取引ができるようになれば、取引急増につながる可能性がある。もちろん本来は、短期売買ではなく長く保有してもらいたいが、相場急落時に売りから入るなど投資の選択肢が広がる利点もある」

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