創業95周年迎える むさし証券小髙富士夫代表取締役社長インタビュー

インタビュー


拠点「埼玉」の魅力を有効活用

小髙富士夫代表取締役社長

小髙富士夫代表取締役社長

1919年(大正8年)を起源とする「むさし証券」が創業95周年を迎えた。拠点である埼玉県で強固な営業基盤を築き上げ、東京、神奈川、大阪にも支店を展開。対面営業、インターネット取引、ディーリングを収益の3本柱として確立しつつある。小髙富士夫代表取締役社長(写真)に、むさし証券の魅力と戦略そして最近の相場についてインタビューした。

――まず、95周年を迎えられた抱負をお聞かせください。

小髙 「選択と集中」の観点から、2010年東京日本橋からさいたま市に本社を移転した。いろいろな意見があったが、最終的に当社にとってメリットの方が大きいと判断した。埼玉県には個人の富裕層や主要取引銀行と関係が深い法人先も多い。なにより埼玉県が魅力的なのは、720万人の県民と80兆円を超す個人金融資産が存在することだ。当社は県内に証券会社として最大の店舗数を擁していることから、今後、強固な営業基盤を確立しつつ、次の節目の100周年に向けて地元から愛されそして必要とされる、顧客本位、信頼される地域密着型の証券会社を目指していきたい。また、社内的には従業員一人一人の幸せを大切にしながら、男女を区別することなく、女性も積極的に活用していきたい。

地域密着型「スパイダーウェブ営業」を展開

――埼玉県の持つ魅力をフルに活用するわけですね。

小髙 お客さまの様々なニーズに応じ、幅広い金融商品を提案することができる、地域とともに生きる「証券版のコンビニ」のような企業イメージを一つの理想形として描いている。人と人、企業と企業、地域と地域が、それぞれつながりを深め広げていける営業、私はこれを「スパイダーウェブ営業」と名付けている。埼玉は全国でも数少ない人口増加県でもあり、また、大宮を中心に東北、上信越につながる高速道路や鉄道網などが網羅されている地理的優位な県でもある。

――顧客である投資家層の厚みもありそうだ。

小髙 最初に埼玉に居を構えた方々には団塊の世代が多い。すでに存在する富裕層とこれからの成長が期待できる潜在的富裕層が混在しており、市場として将来的に明るい展望が開ける県でもある。さらに、県内を本拠地とする企業も多く、幹事証券として、県外も含め193社の上場企業とのお付き合いがある。今年に入っても、IPOの幹事に複数加わるなど実績を積み上げるとともに、M&Aのご紹介等を通じて企業とのつながりも深めている。また、法人の様々なニーズや課題解決のお手伝いをさせてもらっているのが法人ソリューション部だ。東京・埼玉・大阪の3拠点にスタッフを配置し、様々なご提案など迅速な対応を心掛けている。会社規模に起因するサービス面の足りない点は、他社との提携で補完するなど大手と渡り合える体制は構築できている。かえって、小回りが利くのが当社の強みのひとつであると自負している。

――インターネット取引事業「トレジャーネット」も成長している。

小髙 9年前に事業を開始した「トレジャーネット」は、信用取引金利を1.52%と業界最低に抑えていることが最大の特徴でもある。東証上場銘柄の平均配当利回りが1.48%であることを考慮すると、信用取引のコストは配当金でほとんど補完できる計算。それに比べ他社の信用取引金利は2.7%前後が一般的であり、当社の信用金利の優位性は圧倒的。デイトレーダーではなく、信用取引を長期間利用するコツコツ型のネット投資家を育てたい。

――100周年に向けて、むさし証券自体のIPO構想はあるか。

小髙 私は6年前に社長に就任したが、それ以前にむさし証券自体の上場が課題になったことがある。しかし、安定した収益体制を確立させてからと当時は見送った経緯がある。現状では白紙だが、顧客に祝福され、かつ株主や従業員にもメリットがあれば上場も再検討していきたい。

――最後に、現在の相場と証券界について一言。

小髙 売買の6割から7割を占める外国人に新興国と同じようにマーケットが操られ、ヘッジファンドに相場がかく乱されている現状は残念だ。また、夜間取引が検討されているが、対面取引の個人投資家、特に生活時間帯が異なる地方の個人投資家を軽視し、不公平感を抱かせる施策は疑問だ。海外でもドイツや香港は夜間取引を実施したが、その後、夜間取引から撤退した現実も直視すべきである。ただ、東京証券取引所の清田瞭社長の発案で、取引所改革の意見交換会が開催されており、今後の証券業界にとって大変前向きなことと大いに期待したい。

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