「NISA口座」は予想以上の伸び 日本証券業協会・稲野和利会長インタビュー

インタビュー


長期の資産形成などにも有効活用望む

稲野和利会長

稲野和利会長

「NISA」(少額投資非課税制度)が2014年1月にスタートしてから1カ月半。証券界を挙げての積極的なPR活動もあって、口座数は急増中。この制度を利用することでさまざまな長期の資産形成が可能になる。そのための制度恒久化要望など、使い勝手の良い制度とするためにも日本証券業協会の果たす役割は大きい。

【556万口座でスタート】

国税庁の発表によると、1月1日時点でのNISA口座の開設は475万口座。その時点での申請は569万口座で(複数の金融機関からの)重複が約13万口座あったことで、実際は556万口座と大変に大きな数でのスタートとなっています。実際に証券会社や金融機関が本格的に営業活動を始めて半年強程度であったことを考慮しても、大きく進展したと言えるのではないでしょうか。また、開設済み475万口座のうち、証券会社での開設が全体の約3分の2を占めています。銀行などでは株式を取り扱えず、それによるアドバンテージもありますが、投資家を開拓するという営業努力も大きかったとみています。少なくとも、スタートから1カ月半、口座数は予想以上と言えるでしょう。

【積み立て方式で活用】

また、われわれが注目しているのが、NISAをどのように活用するのかを尋ねたアンケート調査で、積み立て投資での活用と答えた割合が結構高くなっている点です。もともとNISAは長期にわたって資産形成をしていく制度でもあり、累積的に投資をして、長い時間をかけて積み立てていく習慣が定着することが望ましいと思います。

【前倒しで目標達成も】

金融庁では2020年に残高25兆円との目標数値を掲げていますが、われわれは前倒しでの達成が可能とみています。556万口座でスタートし、今年は800万口座近くが視野に入る上、今年は無理でも早晩1,000万口座も可能とみています。これをベースに平均買い付け額が1口座60万円とのアンケート結果を重ね合わせると、1年間で6兆円となり、これが5年間続けば30兆円となります。

【恒久化とジュニアNISA】

NISAの課題として、すべての金融機関を通じて1人1口座のみしか開設できず、一定の期間は金融機関を変更することができないという制度が投資家の利便性に欠けるということがありましたが、来年以降は、年ごとに違う金融機関での口座開設が可能になる予定です。また、協会としては、最も大きな課題として制度の恒久化を要望していきます。長期の資産形成を目的としている以上は、長く利用できる制度にすることが重要だからです。恒久化のためには口座数および残高が増え、制度が浸透していくことが大事で、協会としても力を入れていきます。また、現状、NISA口座を開設できるのは20歳以上ですが、これを20歳未満、0歳から19歳でも可能となるような「ジュニアNISA」制度の実現に向けて、各方面に積極的に働きかけていきたいと思っています。

【配当金等の受け取り方法で注意】

最後に1つ注意喚起をしておかなければならないことがあります。NISA口座で株式やETF(上場投信)・REIT(不動産投信)を買い付けた場合、譲渡益とともに配当金等も非課税となりますが、配当金等を非課税とするためには、証券会社で配当金等を受け取る「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。ただし、いったんこの方式を選択すると、既に特定・一般口座で保有している上場株式などの配当金等についても、自動的にこの制度に変更されます。一番後発の制度でもあり、十分に浸透しているとは言えませんので、あらためて取引先の証券会社に確認してください。

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