ファンドマネージャーの視点 レオス・キャピタルワークス 藤野英人CIO

インタビュー


藤野英人氏

藤野英人氏

リターン・リバーサルが効く相場に

ファンドマネージャーは2014年相場をどうみているのか。好パフォーマンスを上げている投信「ひふみ投信」「ひふみプラス」の運用責任者であるレオス・キャピタルワークスの藤野英人CIO(最高投資責任者)に聞いた。

■靖国問題は為替に反映

「2014年相場について、従来は強気にみていたが、昨年末の安倍首相による靖国訪問を受けて少し弱気になった。靖国訪問は為替の動向に大きな打撃を与える可能性があるとみているためだ」

「中国を刺激したくないとしてかねて靖国訪問に反対していたオバマ米大統領からすると、『G20で円安に目をつむったのに…。日本に裏切られた、ややこしいことをしてくれた』という思いだろう。メルケル独首相にしてもそう。靖国訪問によって、これまでの“円安合意”を覆す雰囲気が漂ってきたことが問題。もちろん、米国はドル高要因となる量的金融緩和縮小に踏み出したが、一方的な円安は食い止めたいはずだ。今年は中間選挙もあるため、ドル安のリップサービスもしたいところだろう」

■景気は14年から15年にかけて上昇へ

「一方、景気そのものは14年から15年にかけてさらに上向くとみている」

「景気は08年のリーマン・ショックから3年を経た11年から回復する予定だった。実際、世界景気は回復に向いたものの、日本は大震災に見舞われたこともあり回復が遅れた」

「そして12年末、世界景気の回復局面が続いていたところに、安倍首相が登場。株価においてはそれまで抑制されていた分、上昇エネルギーが蓄積され、為替も日銀が金融緩和を推進したこともあるが、それ以上に米景気回復効果でドル高――と、『景気』『株価』『為替』の三方で好条件がそろっていたところにアベノミクスが加わり、その効果が増幅された。今起きているのは通常の景気サイクルであり、アベノミクスの礼賛派、否定派ともにアベノミクスを過大評価し過ぎていると感じている」

■日経平均の高値メド1万8,000円

「どん底からの景気回復を織り込んだのが13年のアベノミクス相場。14年は景気回復の2年目にあたり、“一番おいしい”時期といえる。リーマン・ショック前の業績を超えてくる銘柄も大きく増えてこよう」

「ただ、13年に何でもかんでも上がったことで、東証1部市場のPERは16-17倍と、決して高くはないが安くもない水準になった。あとは『15年3月期の1株当たり利益がどれだけ伸びるか』だが、靖国訪問の為替への余波を勘案し、従来想定よりも伸びが縮小すると予想。14年の日経平均の高値メドとして、従来は1万9,000円ぐらいまでいくとみていたが、1万8,000円に下方修正した。トレンドとしては年央高を想定、相場の味はやや荒れ気味か」

「堕天使」銘柄にも目配せ

■銘柄選別のポイント(1)中小型成長株優位

「昨年は金融相場で大型株優位だった。相場習性などを勘案すると、今年は大型株は足止めとなり、この半年から1年は中小型成長株が比較的強い展開になるとみている」

■銘柄選別のポイント(2)堕天使銘柄の復活

「また、今年は『リターン・リバーサル』が効く相場になろう。昨年上昇した銘柄のうち業績変化率が乏しいものはそれほど上がらず、一方で昨年それほど上がらなかった銘柄はパフォーマンスに期待が持てる」

「中で、『堕天使銘柄』にも目配りしたい。社内のミーティングでも『これまで良いと言われるも投資家の期待を裏切ってしまった銘柄の復活も読まれる。今まで良いと言われていたが昨年たたかれた銘柄も偏見を持たずに見ていこう』と述べた」

「例を挙げればグリー(3632)。何もグリーを買おうと言っているわけではなく、あくまでも分かりやすい例として挙げたまでだが、昨年11月から急速に巻き返して耳目を集めたミクシィ(2121・東マ)に近いことが複数起こると思っている。例えば、日東電工(6988)などもそう」

■銘柄選別のポイント(3)

「業績とバリュエーションに立ち返ることがより大切になってくる。好業績割安株を丹念に拾うことは、どのマーケット、どの時代でも“吉”だが、今年はPERにより“辛く”なるとみられ、高PER銘柄の深追いに注意したい。昨年は底上がりのマーケットで何を買っても上がった。今年は底上げ一巡で個別勝負の年となる」

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