京浜急行電鉄 原田一之社長インタビュー 品川、羽田が成長の起爆剤

インタビュー


オリンピック開催は追い風に

原田一之取締役社長(写真右)、櫻井英明氏(同左)。 京急グループが運営する品川駅前の複合施設「SHINAGAWA GOOS」29階で撮影。

原田一之取締役社長(写真右)、櫻井英明氏(同左)。
京急グループが運営する品川駅前の複合施設「SHINAGAWA GOOS」29階で撮影。

品川・羽田空港を起点に川崎、横浜から三浦半島へと向かう京浜急行電鉄(9006)。都心から1時間程度のエリアに多様な特色を持つ街が揃う。同社は今、品川、羽田が持つ高いポテンシャルの活用によって、新たな成長段階に進もうとしている。聞き手は兜町カタリスト、櫻井英明氏。

──まず、概要からお聞きしたい。

京急グループの中核は東京・神奈川東部の東京湾の西側、いわゆる京浜工業地帯を南北に貫いている鉄道路線です。

1998年に羽田空港に乗り入れをして、航空路線を通じて全国へ、そして最近は世界へとつながっています。鉄道事業はもともと地域に密着した事業ですが、京急グループは羽田空港と直結していることで、関東だけでなく世界の人々とつながっています。事業エリアとしては(1)利用者数が都内でも5本の指に入るターミナル駅の品川、(2)日本の玄関口である羽田空港、(3)工業都市から産業・文化都市へと変貌(へんぼう)している川崎、(4)みなとみらいなど商業・ビジネスの中心である横浜、(5)高級住宅地として定評のある横浜南部、(6)自然の豊かな三浦半島など、わずか87kmの路線にビジネス、国際空港、産業、住宅、観光など様々なエリアがコンパクトにまとまっています。路線は短いですが年間4億人もの方に利用されていますから効率の良い路線と言えます。また当社の前身である大師電気鉄道を含めれば、今年で創立115年の歴史を持つ企業です。

京急グループは沿線を中心に様々な事業を展開していますが、近年は特に、重要な戦略拠点である品川・羽田空港を中心に事業を推進しています。事業の効率化を図り、ライフラインを担う企業集団として経営基盤の強化に努めています。

京急グループとしては、(1)交通事業として鉄道を中心にバス、タクシーを運行し、羽田空港を中心に新規路線を開拓、(2)不動産事業として沿線を中心にマンションや分譲地の販売。また品川・横浜などを中心にオフィスビル約30棟を賃貸、(3)レジャー事業ではお台場のホテル グランパシフィック LE DAIBAや葉山マリーナなどを運営、(4)流通事業では沿線で百貨店やストアを運営し、各事業がそれぞれバランス良く収益をあげる体制を整えています。

4-9月期を上方修正

──業績はいかがでしょうか。

おかげさまで、先日2014年3月期の第2四半期累計連結業績予想値について、営業利益が対前年同期比46%増の150億円、経常利益が同64%増の125億円、四半期純利益は同82%増の75億円と、それぞれ上方修正する旨を公表しました。まだ第2四半期の集計の段階ですが、通期に関しても増収増益の見通しです。

鉄道事業では、昨年10月、京急蒲田駅付近の高架化完了に伴いダイヤ改正を行い空港アクセスを強化し、「どんどん来る来る」をキャッチフレーズとして、その利便性を全国各地でPRしてきました。また、他社と共同で交通系ICカードの全国相互利用サービスを活用したキャンペーンを実施したことなどもあり輸送人員は増加傾向です。不動産事業やホテル・レジャー施設業等も順調に推移しています。

また、安定的な配当を継続しており1949年に東証1部に上場以来、無配になったことはありません。そして30年以上普通配当を減配したこともありません。

長期ビジョンを策定

──京急グループの将来像についてお聞かせください。

今春、長期ビジョンとして「品川・羽田を玄関口として、国内外の多くの人が集う、豊かな沿線へ」を定めました。その5つの柱は、(1)品川駅周辺の開発事業の推進、(2)品川地区・羽田空港が持つ高いポテンシャルの活用、(3)鉄道・バスをはじめとした安全・安心なサービスの提供、(4)豊かで住みやすい沿線つくり、(5)新規事業の展開です。沿線地域の成長は今後も重要です。そして品川・羽田といった国内有数の恵まれたエリアのポテンシャルを最大限に活かし成長を続け、企業価値の最大化を図っていきます。

──羽田・品川の発展への期待感についてお聞かせください。

当社沿線では、わが国の成長を牽引(けんいん)する都市を整備すべく税制などで優遇措置が受けられる「国際戦略総合特区」に、アジアヘッドクォーター(品川・羽田等)と京浜臨海部ライフイノベーション(横浜・川崎臨海部等)の2地域が指定されています。今後、アベノミクスの「成長戦略」の柱でもある「国家戦略特区」への格上げも期待されています。

訪日外国人は増加へ

日本の空港利用者上位5空港

日本の空港利用者上位5空港(クリックで拡大)

羽田空港は、現在、国内で最も利用者数の多い空港ですが、今年度中に国内線・国際線の発着回数がさらに増加する予定となっており、17年には年間利用者が8,030万人まで増加すると予測されています。(グラフ参照)

現在、国際線ターミナルビルの拡張工事も進んでいて、完成後には駐機スポットや出国検査場が増加します。

さらに政府は「観光立国の推進」で訪日外国人を30年には3,000万人に増加しようという目標を掲げています。先日、8月の訪日外国人数が過去最高の90万7,000人となり、今年1月からの累計で前年比21.4%増の686万4,000人になったことが報道されましたが、今後さらに多くの方が来日するということになります。

当社では、既に羽田空港アクセス強化のため鉄道のダイヤ改正やバス路線の拡充に努めてきました。また、羽田空港利用者の増加に伴うホテル需要の拡大に対応し、ビジネスホテル「京急EXイン」の出店を進めています。さらに、羽田空港から定期便が就航している韓国・中国・台湾・香港からの訪日客を効率的に取り込みたいと考え、昨年から韓国の大手旅行代理店「ハナツアー」の窓口で当社の乗車券を発売するなど新たな取り組みをしています。

これからも「羽田といえば京急」と言っていただけるように努力していきます。

一方、品川地区は羽田空港から当社線でわずか15分、また新幹線や山手線などが乗り入れる主要ターミナルです。

14年度中にはJR東日本が常磐線などの上野駅止まりの電車を東京駅さらには品川駅まで直通させる東北縦貫線を完成させる予定です。さらに、JR東海ではリニア中央新幹線の始発駅を新幹線のホーム直下に27年に開業する予定ですから、品川駅周辺は、首都圏交通の要衝としてさらなる発展が期待されています。

まさに品川の発展は当社成長の起爆剤であると言えるでしょう。

資産の最大活用図る

京急グループは品川地区にショッピングセンター、賃貸ビルなどの資産を保有しており、その敷地の合計は約6万平方㍍にも及びます。当社は、東京都や港区、西武グループ、JRをはじめとした品川地区の地権者の皆様と連携して再開発を推進し、当社が保有する資産の最大活用を図っていきます。

品川駅前にある複合施設「SHINAGAWA GOOS」(シナガワ グース)の高層階から眼下を眺めていただくと、品川の再開発の規模の大きさや未来像を感じていただけることができるでしょう。未来都市への発展の基礎づくりが今始まったという印象を受けています。

また、今年9月には20年のオリンピック東京開催が決定しましたが、これは京急グループにとって大きな追い風となるはずです。競技会場予定地は品川から30分圏内に密集しています。特に京急グループの「ホテル グランパシフィック LE DAIBA」の周辺に会場が集中する予定です。品川や羽田から会場に行く際は、京急グループの鉄道・バスが利用されることでしょう。その意味では当社が「オリンピック関連銘柄」と呼ばれることも不自然なことではないでしょう。

また、お台場カジノ構想が報道されていますが、実現化した場合は京急グループにとって大きな効果があるに違いありません。

──最後に投資家の皆さんに一言、お願いします。

京急グループのすべての事業において、空気があることと同じように、当たり前に「安全」である続けることが重要と考え「安全な京急、信頼できる京急」という皆様のご期待に応え続けていけるように今後もグループ一丸となって取り組んでいきます。経営理念である「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ために努力して企業価値を高めていきます。

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