金相場の行方 FRBの金融緩和拡大発表後に金急落? 押し目買いの好機

概況


2日間にわたる米FOMC(連邦公開市場委員会)にて毎月450億ドル(約3兆6000億円)の国債の購入という追加緩和策が決まり、公表された現地12月12日、金価格はNY時間外取引で急落状態となった。

さらに一歩踏み込んだバーナンキFOMC

今回のFOMCは開催前から追加の緩和策の決定が予想されており、実際に年明け2013年1月から毎月450億ドル(約3兆6000億円)の国債の購入が発表された。ここまでの米FRB(連邦準備制度理事会)が保有する償還期限の短いものから長い国債への買い替え(ツイスト・オペ)がちょうど12月で終了するのに合わせた代替策との位置付けとなる。新規資金での購入となるので、通貨供給を物理的に増やすことを意味する。現行の住宅ローン担保証券(MBS)毎月400億ドルの買い付けと合わせると850億ドルの資金が、市場に供給される体制が整ったことになる。

いよいよもって、どこまでカネの供給を続けるのか? という域にFRBの政策は入ってきているわけだ。しかも効果が上がるまで、とことん資金供給という方針は継続したまま、今回は失業率が6・5%を下回るまでやるという「効果」の数値目標も意表を突く形で導入された。

発表後に急落した金価格

声明文発表後にはバーナンキ議長の記者会見が開かれ、1-2年先のインフレ見通し2・5%超とならない限り低金利は続けるが、それでも根付くまでは緩和の手綱は緩めないという9月会合の確認までなされた。

声明文と議長の発言を受けて金価格は舞い上がるはず…だった。実際には声明文発表直後に10ドルほど急騰したが、すぐに値を消すことになった。まさにいってこい。その後はファンドの売りにジリジリと値を消し、通常の取引が終わった後のNY時間外取引(電子取引)では、まとまった売り物に、まさかの急落状態に至ったのだった。米国の “ドルのばらまき”策の強化は、金の明確な押し上げ材料だったし、それに変わりはないはず。何故、逆の動きになったのか。

今回の国債の買い付け策は予想されており、材料出尽くしという分析がある。これは一理はある。また数値目標を掲げたことから、効果が上がれば緩和策の修正に手遅れになることなく向かえるため、インフレは抑えこまれることから売られたなどという解説も目にした。これなど単なる机上の分析といえ、回復期にそう簡単に抑制策を取れないことは歴史が証明している。実際に、同議長は徹底的にやるとの方針だ。ここで影を落としたのは、足元でなお合意を見ない「財政の崖」問題だった。記者会見で同議長は、「崖」問題への対応に金融政策は限界があり、発生した場合にはカバーしきれないと発言。さらにFOMCメンバーの見通しの中で「崖」はクリアされる前提になっているとした。状況により想定が大きく狂うこともアリとしたわけだ。この発言以降にまとまった売り物が出たことから考えるに、問題の行方を悪材料視しリスク・オフ(リスク資産回避)の流れの中でファンドの売りが下げを主導したとみられる。

今回の国債の買い付け策は予想されており、材料出尽くしという分析がある。これは一理はある。また数値目標を掲げたことから、効果が上がれば緩和策の修正に手遅れになることなく向かえるため、インフレは抑えこまれることから売られたなどという解説も目にした。これなど単なる机上の分析といえ、回復期にそう簡単に抑制策を取れないことは歴史が証明している。実際に、同議長は徹底的にやるとの方針だ。ここで影を落としたのは、足元でなお合意を見ない「財政の崖」問題だった。記者会見で同議長は、「崖」問題への対応に金融政策は限界があり、発生した場合にはカバーしきれないと発言。さらにFOMCメンバーの見通しの中で「崖」はクリアされる前提になっているとした。状況により想定が大きく狂うこともアリとしたわけだ。この発言以降にまとまった売り物が出たことから考えるに、問題の行方を悪材料視しリスク・オフ(リスク資産回避)の流れの中でファンドの売りが下げを主導したとみられる。

金はリスク資産か否か?

短期の価格変動で利益を上げようとするファンドにとって、金は「リスク資産」以外の何物でもなく、リスク要因の高まりで取引解消に走ることがある。そこに年末という要因も重なった。このところドル建て金価格とNY株式などが連動性を高めており、金がリスク資産との見方がされることがある。それはファンドの投資行動が価格展開を左右する比率が高まっている際に見られることが多い。

この点、年金基金など中長期の現物保有者は、例えばバーナンキ議長の警告にも泰然として持ち分を手放すことはないだろう。中長期の投資家にとって、金保有は「信用リスクのない資産」という点にこそ主眼があるわけで、とらえ方がファンドとは異なるためだ。つまり投資主体で金もリスク資産となったり、「Safety Asset(安全資産)」となったりと、性格を変えるということである。結局、中長期の価格トレンドを作るのは、ファンドではなくこうした長期投資家であるといえる。つまり最近の急落は、大勢を表したものではないと思う。前回、年明けに訪れる連邦債務上限引き上げ問題が、金価格の刺激材料となると書いたが、その見通しは変わらない。年末までの薄商いの中で下げ局面は押し目買いの好機ととらえている。

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