自社株買い候補を探る 決算短信に“重要なヒント”

概況


宝HDD(2531) 週足

宝HDD(2531) 週足

決算発表本格化に向けて、自社株買い候補銘柄があらためて注目されてくる。決算との同時発表も想定されるためだ。

自社株買い発表銘柄の高パフォーマンスはよく知られるところだが、直接的な需給効果のほかにも、自社株買い実施によってROE(自己資本利益率)改善が進めば、外国人など機関投資家の投資対象になりやすいといった利点も指摘される。ちなみに、「ROE」は、日本取引所や日本経済新聞が年内に発表する新株価指数の主要な選定基準の1つになるともみられている。

企業の配当総額が6年前の過去最高水準に迫る中、自社株買い総額は相対的に低水準にとどまる。多額の余剰キャッシュを抱える上場企業にとって、実施余地はなお大きいとみていいだろう。

自社株買いに前向きかどうかを見極める重要なポイントとなるのが、決算短信の「利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」の項目だ。

TOPIX500採用企業を対象に、大和証券が同項目を調べたところ、自社株買いについての方針を言及している企業は107社に及んだ。

実施目的については、このうち67社が「配当の代替手段(株主還元の一環)」と答え、ほかの企業は、「資本効率改善」「機動的な資本政策」「1株当たりの株主価値向上」など政策的な側面を挙げていたとされる。

とりわけ注目されるのが後者。これらの企業について、大和証券では、「増配ではなく自社株買いを実施する意味が大きいと認識し、活用しようとしている」と指摘している。また、株価水準にとらわれず、実施に踏み切りやすいとも言えそうだ。

さて、「自社株買いの方針で、資本効率の向上や資本政策、株主価値の向上などに言及」している40銘柄のうちでも、直近2期、あるいは3期で毎年自社株買いを実施しながら、今年度はまだ実施していないものは、宝HD(2531)メディパルHD(7459)千葉銀行(8331)NKSJHD(8630)ヤマトHD(9064)の5銘柄。いずれも、企業年金連合会などが求める「ROE8%」基準に達しておらず、特に、メディパルやヤマトHDは、デッド・エクイティ(負債・株主資本)倍率が0.1倍台と有利子負債比率も非常に低い。

一方、資本効率への言及のない(「配当の代替手段」と答えた)企業であっても、もちろん、自社株買いの方針を示している点に変わりはない。こちらも、直近2期、あるいは3期に実施し、今年度未実施の銘柄には、ニチレイ(2871)サンリオ(8136)福山通運(9075)メイテック(9744)があり、先の銘柄群と合わせた計9銘柄は表の通りだ。これらの銘柄には、早ければ今回の決算発表時にも自社株買い実施発表が期待されてくることになろう。

メディパルは、5月高値1,600円から25%安を経て、なお安値圏でのもみ合いが続いているが、PER13倍台、PBR(株価純資産倍率)1倍ちょうどに割高感は乏しい。

ヤマトHDは、24日に高値更新してきたが、先に、「4-6月期連結営業利益7割増益」と報じられるなど足元の業績好調が続いている。中国全土をカバーする精密機器輸送システム共同開発など、内外で物流拡大へのニーズが高まっている。

宝HDは、タカラバイオ(4974・東マ)暴騰を受けた5月の乱高下を経て、底固めの動きが続いているが、みずほ証券の目標株価は、時価を6割強上回る「1,600円」。また、タカラバイオもここにきて復調気配にある。

主な自社株買い実施候補銘柄と近年の実績
銘柄 コード ROE 負債/株主資本倍率 2010年度 2011年度 2012年度
宝HD 2531 5.2% 0.35倍 11.8億円 10.7億円 15.7億円
ニチレイ 2871 8.6% 0.6倍 15.9億円 38.4億円 47億円
メディパル 7459 7.0% 0.11倍 10.6億円 80.8億円
サンリオ 8136 30.0% 0.5倍 6.7億円 10億円
千葉銀行 8331 6.1% 50.6億円 58.2億円 94.4億円
NKSJHD 8630 2.9% 5.8億円 8.7億円 8.6億円
ヤマトHD 9064 7.7% 0.15倍 58.9億円 241.1億円 100億円
福山通運 9075 4.3% 0.4倍 29.9億円 26.5億円 13.2億円
メイテック 9744 10.9% 7億円 28億円
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