金相場の行方 テクニカルの売り崩しに予想外の大崩落(下)

概況


マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表
金融・貴金属アナリスト 亀井 幸一郎氏

冷静に足元の世界の金融環境をチェックするならば、依然としてFRB(米連邦準備制度理事会)は毎月850億ドル(約8兆円)の資産購入を続けており、経済規模が半分にもかかわらず日本銀行も、FRBに劣らぬ2年で140兆円ものばらまき策に出るところだ。こうした状況は「出口」が難しく、緩和環境の解消には複数年の時間がかかるのは間違いなかろう。

ここまで急落と呼ばれるものは何度かやってきているが、いずれも主導したのはNYコメックスでのファンドの動きだった。つまり現物が大きく売られて下げるというものではなかった。しかるに、今回の下げは年始から断続的に続いてきた金ETF(上場投資信託)の解約の動きを伴っている点にある。過去12年連続で年足での上昇を続けてきた金市場で、単月で見てETFの残高が減ることは珍しくなかったが、今回は足元まで4カ月近く残が減り続けている。大口取引の受け皿になっている代表銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」で見て1月は22.7トン、2月は74.2トンで単月では過去最高の資金流出、3月は32.6トン、さらに4月は22日までで1,116.6トンと既に2月の数字を大きく更新した状況となっている。この間に金額ベースで日本円にして1兆5,000億円ほどが失われた。金利を生まない金から、より運用効率のいい株式などへの移行が見られているとされる。筆者の分析では一部は日本株に流れた可能性があるとにらんでいる。

ならば今後の見通しはどうか。今回の暴落相場で、足元では割安とみた地金や金貨など現物の買いが、日本や中国など広くアジア圏さらにインド、欧米でも爆発的に出され、地金が底を突き争奪戦の様相を呈している。しかしそうした買いは、先物市場でのファンドの売りに向かうには力不足は否めない。さらには、4月12日にはファンドが逆にロングを積み増していることが判明している。まずは、当面は需給に均衡する価格帯を探るような展開になるだろう。それには1-2カ月を要すると思われるが、これまた予想外の実需の動きに当面は1,350-1,450ドルのレンジを固める動きとなりそうだ。

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