日本株の回復期には「バリュー運用」が最適 運用45年バーンスタインの視点

概況


アライアンス・バーンスタイン 日本株式セミナー 後編(→前編

アライアンス・バーンスタイン 日本バリュー株式最高投資責任者 緒方克明氏

緒方克明氏

アライアンス・バーンスタイン
日本バリュー株式最高投資責任者 緒方克明氏

アライアンス・バーンスタインは3月8日に日本株式セミナーを開催。円高やデフレの影響で長らく低迷を続けてきた日本株だが、新政権発足に伴う円安の進展をきっかけに、世界的にも再評価の機運が高まっているという。セミナーでは海外投資家から見た日本株の魅力、新局面におけるバリュー株運用の投資機会などが語られた。前編に続く今回は、日本バリュー株式最高投資責任者である緒方克明氏が語った、45年間にわたって運用を続けてきた「バーンスタインの視点」を抜粋して紹介する。

バリュエーション調整完了 日本株の巻き返しに期待

近年は各国の株価指標が上昇する中、日本株だけが右肩下がりを続けていた。これはひとえに「高過ぎたから」。1990年代の日本株はPBR(株価純資産倍率)5倍と、MSCIワールド指数の2倍を大きく上回る異常事態だった。PERは60倍から、足元ではMSCIワールドと同水準の20倍程度にまで低下している。

こうしてようやく日本株のバリュエーション調整が終了。今後は企業の収益次第で上ブレといった局面が期待されるが、そもそも、日本市場の収益成長率は他市場を凌駕する。2013年の予想収益成長率はグローバル10.7%、米国8%に対して、日本は41.5%と突出。14年についても、グローバル12%、米国11.6%に対して日本は18.5%が見込まれている。

日本企業の収益力向上については「一時的な現象では?」との懸念も聞かれる。それは、これまで日本では景気回復期待が長く続かなかった故の悲観論にすぎない。税引前特別損益前で見ると、企業の株主資本利益率は1993年に底打ちして以降は改善傾向にある。

日本株に潜む「不合理性」バリュー投資で高リターン狙う

こうして基礎固めを終えた日本株。実は、短期指向で流されやすいという性質から、他市場に比べて非常に勝ちやすい市場といえる。

ビール株のパフォーマンス

ビール株のパフォーマンス

例(1)短期志向:ビール株

ビール会社の株価は猛暑や冷夏など短期的なノイズに大きく反応する。アサヒ(2502)キリン(2503)の合成株価を見ると、例えば2010年は猛暑予想となり、6月からの3か月間でTOPIXに対して10%上昇。しかし、猛暑による売り上げ好調は一時的なもののため、その後は元の水準に戻っている。このような短期間で過剰反応が“懲りずに”繰り返されるのが日本株の大きな特徴の1つ。

空運株のパフォーマンスと格付け

空運株のパフォーマンスと格付け

例(2)流されやすい:空運株

上場廃止前の日本航空(9201)は格下げとともに株価も下落。同時期のTOPIXはフラットなので、この下げは日本航空の単独要因。にもかかわらず、格付けがBBBプラスで変更されなかった全日空(9202)の株価までもが日本航空にツレ安した。

こうして誤解に基づく投資機会が数多く存在し、かつ、今後の上昇が期待される日本株は、非常に魅力的な投資対象だ。われわれは過去の苦い経験にとらわれず、アクティブ運用がもたらす累積効果に着目すべきだろう。

バリュー株のリターン(%)

バリュー株のリターン(%)

とりわけ、世の中から見過ごされた価値ある企業を見いだして投資する「バリュー投資」は、現在のような回復局面でもっとも強みを発揮する。市場低迷期からの底打ち後1年間のTOPIXとバリュー株のリターンを比較すると、00-03年のITバブル崩壊、07-09年の世界金融危機の回復局面ではバリュー株のリターンがTOPIXを大きく上回った。

ちなみに企業は「平均回帰」の原則から、良い状態、悪い状態のままいつまでも続くことはない。東証1部上場銘柄(除く金融)のうち時価総額上位300銘柄をROE(株主資本利益率)が高い順に5分割しても、その後は徐々に上位と下位の特性は薄れていく。

それ故、「リサーチ」と「規律」に基づくバリュー投資は日本株市場に最適といえる。まずは平等に与えられた情報から一歩踏み込むことで市場と異なる見解を持ち、これを十分にリサーチすることで初めて、周囲の反対や自身の不安といった感情に流されることなく、安く買って高く売るという「規律」を貫き通すことができる。

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