どうなる!?「総選挙後の政策、相場」 政策通・理論派2氏に聞く

概況


野田佳彦首相による解散表明を受けた反騰劇。解散当日の16日には日経平均9000円にも到達してきたが、ここまでは期待先行の感も強い。総選挙後には、政権交代の可能性極めて濃厚とみられているが、実際のところ、それによってどのような変化が想定されるのか。証券界の理論家2氏に話を聞いた。

“普通の国”になる好機

野村証券 伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジスト

野村証券 伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジスト

野村証券 伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジスト

総選挙を経て新政権が発足すれば、政策が劇的に変わるとみるのは行き過ぎだ。実際にはさまざまな手続きを要し、法改正を必要とするものもある。過去の政権交代時にも、さほどの激変は生じなかった。とはいうものの、今回の場合、過去に例がないほど「何も決められなかった」だけに、国民の審判を受けた新政権にとっては、やりたい政策を進めやすくなることは確か。もちろん金融政策についても同様だ。

政府に対する「中央銀行の独立性」について、現在の日本ほど、かたくななこだわりを持つ国はないのではないか。“普通の国”なら、お互いに節度を守りつつも、マーケットに懸念が生じれば、適切なメッセージを送るもの。それさえできないことが、投機筋の円買いを促してきた面もある。“普通の国”の“普通の対応”ができるようになれば、行き過ぎた円高は是正されるだろう。

なお、「円安」と「株高」は過去に、必ずしもリンクしてきたわけではない。1997、98年や2003、04年は、円安と株安が同時進行したものだが、これは金融危機時に特有の現象でもある。平時の現在なら、「円安→株高」の流れは当分続くだろう。野村証券としては、向こう1年間で、1ドル=88円程度までの円安局面を想定している。それにつれて、同じく1年間で、日経平均1万250円を予想する。なお、来3月期の企業収益は20―25%程度の増益が見込まれ、この見通しが信頼できる状況になってくれば、当社予想を超えて上昇する可能性も十分あるのではない

「市場との対話」円滑に

三井住友アセットマネジメント 宅森昭吉チーフエコノミスト

三井住友アセットマネジメント 宅森昭吉チーフエコノミスト

三井住友アセットマネジメント
宅森昭吉チーフエコノミスト

解散・総選挙を経て自民党中心の政権に戻れば、政策当局と市場との対話が円滑に進むようになり、株価にもプラスの影響を与えることになりそうだ。

自民党・安倍晋三総裁は15日、金融政策に関して相当踏み込んだ発言を行った。実際に、やるやらない、あるいは良しあしの判断は別にして、市場へのアピールが上手く、為替や株に大きなインパクトを与えた。

ちなみに、その際に言及した“マイナス金利”自体は、価格メカニズムを壊すという副作用を伴う。また、いくら水をまいても、のどが渇かなければ飲まないように、金融政策だけでデフレ脱却は図れない。同時に成長戦略があってこそ。日銀・白川方明総裁の認識にも共通するところだが、その点で無策に近かった現政権とは違い、自民党はしっかりやってくれると期待したい。

日銀とて、これまで決して手をこまぬいていたわけではない。「無制限の貸出支援基金」など、本来なら、(100%政府出資の)日本政策金融公庫が担うべき役割もこなしているが、何分にも“お公家さん”集団だけに、アピール下手で、メッセージが市場に伝わらない。

政府がサポートして、必要な公共事業の実施などと両輪で、効果的な金融緩和を進めていけば、一段の円安や、それに伴ってデフレ脱却に向けた動きも強まってきそうだ。

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