「2013年展望」相場の読み方 “年末の風物詩”続々発行へ

概況


12月の声を聞くと、そろそろ年末相場の着地点や、そして翌年の市場展望に関心が移るのが例年のパターン。今年の場合、16日に天下分け目の衆院選を控えるため、クリスマスムードが強まるのも、少し後ずれしそうだが、証券各社などからは「2013年展望」と題した相場レポートが続々と発行され始めた。

日経平均 年足

日経平均 年足

12月1日前後に発行が集中した昨年、一昨年よりも発行ペースが遅れているのは、もう少し政治情勢を見極めてからとの意向を反映しているのかもしれないが、それでも、前週後半にはゴールドマン・サックス証券が先陣を切って、「2013年の相場展望:バック・トゥ・ザ・フューチャー」を発行。野村証券も3日付「グローバル・ストラテジー・アウトルック(英語版)」で、2013年見通しを掲げており、日本株の推奨ウエート引き上げ(8%→10%)は4日付本紙でも紹介した通りだ。

通常、年末年始にかけて出される展望ものには、ご祝儀気分の“強気バイアス”がかかりがちという点は差し引く必要があるとしても、全般に前向きな見方が目立つ。

毎年12月下旬に100ページを超える力作の相場展望資料を作成する、大和証券の木野内栄治投資戦略部部長も、今年の資料の仮題として、「デフレ脱却2カ年計画~晴れた日に38915円が見える~」を想定している。「3万8915円」とは、言うまでもなく1989年12月29日の日経平均最高値のこと。デフレ克服によって、最高値に至る道筋が見えてくるとの意味だ。

主要各社のストラテジーレポートから、日経平均やTOPIXの予想を時系列で掲げている部分を表にまとめたが、総じて右肩上がりの推移を打ち出している(野村予想は、年央にかけ、いったん“中だるみ”を挟んでの年末高予想)。「年末高」派と、「年前半高」派が真っ二つに割れた昨年とは、やや様相を異にしているようだ。そして、その背景に挙げられるのが、大和説同様の「デフレ脱却期待」だ。

ゴールドマン・サックス証券レポートの副題が「巳年:リフレーションを追及」。文中には、「自民党の政権復帰の可能性」「将来的に追加の金融緩和も」「日本の予想EPS(1株当たり利益)成長率は世界のどの地域よりも高い」「08年の金融危機当時の水準に近いPBR(株価純資産倍率)で取引されている唯一の市場」「外国人から約4・5兆円の買いが生じる可能性」などが列記されている。

野村証券は、「衆院選の結果によらずイベントは進む」「日銀総裁交代の後、金融/為替政策が株式に非常に有利な景気刺激の方向へ大きく舵を切る見通しが高まっている」など。シティグループ証券は、「07年半ばから4年半続いてきた円高ドル安が最終局面となったことで、中長期的な上昇局面に入ったと考えている」とした。JPモルガン証券も、「数十年間続いた相対及び絶対パフォーマンス低迷の後、国内のリスクアセット―株式および不動産―を左右するファンダメンタルズが変化し始めている」とし、指数目標などを掲げずとも、「日本株式市場に対して楽観的な見方」を打ち出している。

各社で表現こそ違えど、詰まるところは、同じ「デフレ脱却」期待に行き着くわけだ。逆に言えば、今回の政治体制一新をもってしてもデフレ克服の道筋が描けない場合には、より深い失望感に見舞われる可能性もあるので留意しておきたい。

ちなみに、前週には、第一生命経済研究所も「2025年までの内外長期経済見通し」を発行したが、人口動態分析から、日本の低成長持続を想定。「円高デフレを乗り越えた実感ある成長」のためには、「アジアの国や地域との間で自由な経済圏を形成し、主体的に事業を展開すること」が必要と指摘する。20年デフレに終止符を打ち、各社の掲げる日経平均1万円台予想を実現するためにも、単なる「日銀頼み」を超えた真の成長戦略構築が政界、そして各企業に求められていると言えそうだ。

主要各社の2013年株価目標
2012年
12月末
2013年
3月末
2013年
6月末
2013年
9月末
2013年12月末
(今後12カ月)
2014年
3月末
【日経平均】
野村証券  9,500円 10,250円 10,000円 10,250円  10,500円
みずほ証券 9,500円程度 (来年半ばに
11,000円程度)
シティグループ証券 9,800円 10,700円 11,300円
【TOPIX】
野村証券 800 875 850 875 900
ゴールドマン・サックス証券 820 900 930
シティグループ証券 810 890 940

※来年3月末の欄は「今後3カ月」を含む、以下同じ

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