バークレイズ証券マクロ経済セミナー アベノミクスの行方を占う 重要なのは「成長戦略」

概況


バークレイズ証券は20日、「マクロ経済セミナー」を開催した。パネルディスカッションに参加した同証券の森田京平チーフエコノミスト、高橋祥夫チーフ外債・為替ストラテジスト、森田長太郎チーフストラテジストの興味深い発言部分を以下の通り抜粋した。

森田京平チーフエコノミスト

森田京平チーフエコノミスト

■選挙後に決まるアベノミクスの真贋=森田京平氏

参院選の前と後で“3本の矢”の順番がきちんと入れ替わるかを注視したい。現状は金融政策→財政政策→成長戦略の順だが、成長戦略が一番上に来るべき。そもそも、成長戦略と金融政策が別扱いされること自体にも不満はあるが、ともあれ成長戦略の優先度が高まらなければ、市場との蜜月期間は短くなりかねない。具体的には、労働市場の改革や、資本の効率化を促す独占禁止法緩和、そして産業の競争力を高める法人税引き下げなどが求められている。ここまで、バブルも辞さずの覚悟で市場環境を変えようとしたアベノミクスの評価は「80点」とみるが、参院選後を見通せる材料をまだ安倍政権は示しておらず、まずは6月の「骨太方針」「成長戦略」が注目される。

高橋祥夫チーフ外債・為替ストラテジスト

高橋祥夫チーフ外債・為替
ストラテジスト

■「円安」よりも「ドル高」へ=高橋祥夫氏

為替相場におけるサプライズの“源泉”は、米国経済復活とみる。早ければ年内にも、市場の見方は大きく変わってくるのではないか。シェールガスによるエネルギーコスト低下で産業の米国回帰が進むなど「資源国」としての独り勝ちが見込まれる。ハイテク産業にも成長が続くなど、1980年代のドル高局面を彷彿(ほうふつ)とさせる展開を想定する。ドル・円相場は、購買力平価からフェアバリューに近づいており、日本要因で一段の円安進行は見込みづらいが、今後は米国要因でのドル高が進み、1ドル=100円に向かうとみている。米国にリスクがあるとすれば「中東」。リビア政権崩壊に伴う北アフリカの武器拡散や、イスラエルのイラン攻撃に対して、どのように関与していくかが問われる。

中国は、公害問題の深刻化が示すように、従来の「とにかく成長すればいい」という段階は過ぎた。“ルイスの転換点”や“中所得国のワナ”なども指摘され、「何年かかっても構造改革を行う」との機運が強まっている。かといって、成長率鈍化の弊害も大きく、7-8%成長の数字を作っていくことになろう。

森田長太郎チーフストラテジスト

森田長太郎チーフストラテジスト

■日本単独インフレは生じず=森田長太郎氏

長期金利高騰(国債急落)を予想する声もあるが、基本的には、生じないと思う。日本単独でインフレは起きないし、起こせない(グローバルインフレならある)。安倍政権が財政ファイナンスを行わない、との“信頼”に基づくものではあるが…。日銀を批判する向きはマネーを増やせばインフレになると言うが、教科書通りの貨幣数量説は、現実の世界には当てはまらない極論だ。日本の人口動態を見ると、江戸時代後期から続いてきた150-200年の長期人口拡大期がいよいよ終わりつつある。大きな構造転換期に期待感がシュリンク(縮小)するなか、デフレ要因をしっかり分析しなければ、現実的に対応できない。なお、株式、国債とも買われる最近の市場は「過剰流動性相場」となっている。日銀でも何でも、市場に流通しているものを過剰に買えば、必ず需給はゆがむ。この状況がいつまで続くか。半年程度でつぶれるか、何年も続くかは分からない。案外、早く終焉(しゅうえん)する可能性もあるが、そうでなければ、日経平均が1万5,000-1万6,000円となっても不思議はない。

戻る