金相場の行方(下) 国内金価格33年ぶりの高値に

概況


マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表
金融・貴金属アナリスト 亀井 幸一郎氏

このように当時短時間で急騰し、急落した相場である故に国内の過去最高値近辺で取引した人はほとんど居ないのだが、ならば一定の取引があったと思われるのが当時の平均値だろう。調べてみると1980年1月が5,286円、2月が5,239円というもの(いずれも店頭小売価格)。この辺りが日本における意味のある過去最高値というところか。今であれば消費税を乗せて5,500円前後の価格となる。ちなみに平均値といえども1979年12月は3,606円、1980年3月は4,481円となっているので、この2カ月も当時としては突出して高かったことに違いはない。年始1月から2月にかけて、その水準に接近したことになる。

方向感の出ないドル建て価格

さて国内価格の押し上げ要因として影響力を発揮したドル円相場だが、先週末のモスクワでのG20(20カ国財務相・中央銀行総裁会議)では、日本の政策は通貨安誘導目的と指摘されることはなかった。しかし、複数の政府関係者が入れ替わり立ち替わり(流れに沿って)特定の為替水準や円安の流れを認めるような発言するといった“無邪気な”行動にはくぎを刺されることになったとみられる。アベノミクスで掲げた3本の柱の提示など、これまでの閉塞(へいそく)感に満ち満ちた状況からの脱却期待というセンチメントの転換が、マネーフローに変化を与え、怒濤(どとう)の円安の流れを生み出したが、それも当面の落ち着きどころを探すことになりそうだ。従って、円安を追い風にした国内金価格の上昇も踊り場を迎えることになろう。

一方、ドル建て価格はレンジ相場ながらファンドの売り攻勢に下値を切り下げる状況となっている。ここまで連邦債務の上限問題など米国財政にかかわるイベントのいくつかが先送りされた結果、金市場にとって目先の刺激要因が減ったことが背景となっている。方向感の出ない中で、株高がもたらす市場センチメントの上昇が米国のみならず世界景気全般の回復期待につながり、金融緩和観測の後退から金価格を抑える働きをしている。この点で、目先は3月1日に迫った「歳出の強制カット」の扱いがどのようになるのか。混迷するようであれば、押し上げ材料となりそうだ。

金相場の行方(上)

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