金相場の行方(上) 国内金価格33年ぶりの高値に

概況


マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表
金融・貴金属アナリスト 亀井 幸一郎氏

国内金価格5,000円突破

このところ1オンス(=31.1035g)あたり1,600ドル台でこう着状態のドル建て価格をよそ目に、国内円建て金価格が昨年末以降2月初めまで堅調に推移してきた。言うまでもなく急ピッチで進んだ円安をそのまま反映した形だが、国内地金商大手の発表する店頭小売価格(税込)は今年に入り1月11日に1g=5,000円を突破して以降も上昇を続け33年ぶりの高値を記録している。東京商品取引所(旧東京工業品取引所)の先物価格(期先)も2月4日に上場来初となる5,000円の大台に乗せ、本稿執筆中の時点では2月7日に記録した5,081円が過去最高値となっている。現在の水準ではドル・円相場で対ドルの1円の変動は、国内では金1g=約54円の変動につながる。これを前提に2月初旬の国内金価格を考えると、昨年12月から現在までの2カ月余りの間にドル・円相場は13円程度の円安が進んだが、ドル建て価格に変化がなかったことから、為替要因だけで700円程度押し上げられたことになる。為替要因でこれだけ短期に価格が押し上げられることは珍しい。

かつて金バブル時代の6,495円が過去最高値

国内における金価格の過去最高値は1980年(昭和55年)にさかのぼる。当時はまだ国内に先物市場は存在せず店頭での現物の小売価格が記録に残るが同年1月21日の6,495円が過去最高値で当時は消費税は存在せず、これは今でいう税抜価格に相当する。この時の相場は海外市場での(結果的に)バブル相場を映したもので6,000円超の高値を維持したのは、わずか3営業日にすぎなかった。1月21日は月曜日だったが、この日を挟んで前営業日の1月18日(金)は6,220円、翌22日(火)は6,415円だった。そして23日(水)は5,185円と1,230円の下落となっている。

この時に対応する海外価格は、いずれもロンドン市場の午後のフィキシング(値決め)価格で1月18日(金)が835.00ドル、1月21日(月)850.00ドルで、この時の850.00ドルが2008年1月2日までドル建て現物価格の過去最高値として君臨していた。現在のようにリアル・タイムの取引システムのない時代ゆえに、時差の関係で海外市場で高値を見た後で国内価格はそれに準じて決められていた。ちなみに6,000円超の価格を記録した当時のドル円相場は、おおむね1ドル=240円前後で推移していた。当時ロンドンでの高値800ドル台での取引もわずか2営業日となっている。いずれにしても瞬間最大風速値という表現が適切な過去最高値が6,495円といえるわけだ。まさにバブルの極致で付けた価格だった。

金相場の行方(下)

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