感応度抜群!「自社株買い」 3年連続実施企業から候補を探る 東亜合成、ヒロセ電機に期待

概況


自社株買いを発表した銘柄への株価感応度の高さが目立っている。11月29日引け後発表の日東精工(5957)とオービック(4684)が、30日にそろって値上がり率上位へと名を連ねた。29日の相場でも、テクマトリックス(3762・2部)が一時18%高に買われた経緯がある。今年度の自社株買い実施状況は、前年度を下回る低調なペースとなっているが、その分、実施銘柄への注目度が高まる構図か。「次の候補」探しの動きも生じてきそうだ。

自社株買いには、直接的な株式需給好転の効果のほかにも、発行企業側が自社の株価水準を「割安」と判断したことを示す“シグナリング効果”や、株主還元姿勢を推し量るバロメーターとしても注目される。もっとも、実際には、継続的に実施する前向きな企業と、ほとんど実施実績を持たない企業に2極化しているのが実態だろう。

大和は「有望」4銘柄を選定

大和証券は29日付で、「2012年度株主還元状況~3年連続自社株買い銘柄に注目」と題するストラテジーレポートを発行。TOPIX500採用銘柄を対象に、09―11年度に連続で自社株買いを実施した24銘柄をピックアップしている。大和では、自社株買いと配当を合わせた「株主還元利回り」が高く、今期増益見通しの銘柄を、「特に有望」として、科研製薬(4521)、日本電産(6594)、光通信(9435)、USS(4732)の名を挙げたが、これらは既に今年度も、前年度並みかそれ以上の自社株買いを実施済み。株価の有望度とは別に、「今後の実施候補」という意味合いから、ここでは、まだ今年度実施実績のない銘柄に注目してみたい。表の9銘柄だ。

常連組も意外に冷淡

まず、3年度連続どころか7年度連続で自社株買いを実施してきた豊田通商(8015)に話を聞いたが、意外にも…。「特に自社株買いを積極的に進めようとしてきたわけではない。これまで、社内的に『実施すべき』との機運が高まった時に実施してきたが、今期は、そうした声も上がっていない」(豊田通商・渉外広報部)のだとか。あるいは、今年に入って、既に4割高しており、26日には08年8月以来の高値水準に買われたため、自社株買いの必要性も薄らいだ、といったところだろうか。

この仮説の上に立てば、9銘柄のうちでも株価の低迷する銘柄が狙い目、ということになりそう。直近3、4年来の高値圏にあるユニ・チャーム、持田製薬、シマノ、東邦ガスは対象外か。

財務悪化にはあらがえず

とはいえ、四国電力(9507)の場合、「昨年度は株主総会で買い付け枠を設定したが、今年の総会で枠は取っていない。財務面で厳しさを増しており、状況を慎重に見極めながら判断したい」(四国電力・経営企画部)とされ、連続実施記録も途絶える可能性が高そうだ。

10数年来のボックス圏下限に位置するトレンドマイクロ(4704)の場合はどうか。
「『毎年実施する』というポリシーがあるわけではなく、やるかもしれないし、やらないかもしれない。一義的には、株主還元は配当を優先し、財務に余力があれば自社株買いも行うが、実施のタイミングが難しい。当社の考え方としては、ファンダメンタルズを反映せずに需給要因から急落した際で、特に、買い方が少なく、流動性の低下している場面での実施を想定している」(トレンドマイクロ・IR担当者)とされる。不意の急落場面があれば、逆張り狙いが効きそうだが、“平時”の自社株買い期待度は、さほど高くない。

株主還元に意欲的なのは…

ヒロセ電機 日足

ヒロセ電機 日足

さて、残り2銘柄となったところで、ようやく前向きなコメントを寄せてくれたのがヒロセ電機(6806)だ。「実施時期など詳細は話せないが、今後も継続して自社株買いを実施していきたい。配当とともに、株主還元策として位置付けている。もちろん、M&A(企業合併・買収)など大きな資金が必要になった際は、その限りではないが…」(ヒロセ電機・IR担当者)。30日に年初来高値更新したとはいえ、中勢波動上で見れば、06年から続いく下降トレンドから、ようやく脱してきたところだ。

なお東亜合成(4045)は、「今後の実施は『未定』で、やるともやらないとも、申し上げることはできかねる」(東亜合成・IR広報室)とのこと。インサイダー情報にもつながる自社株買い情報漏洩を警戒するのはどこも同じだが、少なくとも「否定」の声は聞かれなかった。

3年連続で自社株買い実施し、今年度未実施の主な銘柄
銘柄 コード 株主還元利回り
東亞合成 4045 5.0%
ユニ・チャーム 8113 0.8%
持田製薬 4534 4.8%
ヒロセ電機 6806 1.4%
シマノ 7309 1.9%
四国電力 9507 6.6%
東邦ガス 9533 2.4%
トレンドマイクロ 4704 4.2%
豊田通商 8015 2.3%

※「株主還元利回り」は、2011年度の配当額と自社株買い実施額の合計を時価総額で割ったもの

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