取材の現場から 武田薬品の「降圧剤臨床研究」問題 京都大学調査では問題なし

概況


プロモーションに「ゴールデンクロス」登場

京都大学は2月27日、武田薬品(4502)の降圧剤「ブロプレス」の臨床研究を行った「CASE-J」の問題に関する調査結果を発表した。武田薬品がブロプレスの広告でCASE-Jの論文データを使ったが、そのデータが論文と違っていたことが昨年明らかになった。これを意図的に行っていたとすれば、薬事法(医薬品医療機器法)の誇大広告違反となる。

武田(4502) 日足

武田(4502) 日足

武田薬品自身は、違法性についてきっぱり否定している。しかし、この問題では、武田が京都大学に37億5,000万円もの寄付をしていたことが明らかになっており、武田と京大が共謀したのではないかともみられており、京都大学がどのような調査結果を出すかが注目されていた。

京都大学の調査委員会の結論は、「不正はなく、問題はない」というものだった。問題視された武田薬品の広告で使われたグラフについても、「京大は作成にかかわっていない」とした。武田から寄付を受けていたことで、利益相反があったのではないかともみられているが、これについても、その当時の基準に照らせば問題なしとした。処分もなく、2人の責任者に対する厳重注意にとどまった。

「昨年10月、京大総長に山際寿一教授が就任した。ゴリラ研究の第一人者が総長になったと話題になったが、『山際教授は医学部を厳しく見ている』という情報が京大関係者から伝わってきた。そのため、調査委員会が相当厳しい報告を出すのではないかともみられていた。ところが、結果は非常に穏便なものだった」(社会部記者)。

問題となったグラフは、ブロプレスとほかの薬の臨床実験で、ある時点からブロプレスの効能が伸び、ほかの薬を上回ったことを示すものだった。折れ線グラフでそれを示し、「ゴールデンクロス」と称してプロモーションを行った。

ゴールデンクロスは株投資をする方にはおなじみの用語で、株価チャートで上昇を決定づける値動きを示すものだ。

「お医者さんで株投資をしている人は結構いる。証券新聞を読んでいる本格派も多い。だから、ゴールデンクロスなんていう用語を使うと、反応するお医者さんは結構いると思う。その意味では――不正や改ざんは問題外だが――この武田のプロモーションはなかなかセンスがある」(他メーカーのMR)。

いずれにしても、京都大学が調査結果を発表したことで、今後は厚労省が武田薬品の誇大広告問題について調査を行うことになるとみられている。この問題は、まだ長引きそうだ。

戻る