知らないと怖い 不動産市場の裏 タワーマンション利用の複合的相続対策―盲目的タワー信仰は痛い目も―

REIT 概況


不動産市況、なお活況続く

ちょうど1カ月前の1月20日から、10年物の日本国債の金利は0.2%を切ったところで、底を打ち、この1カ月間上昇傾向にある。もちろん、金利の上昇で、J-REIT(不動産投信)指数は大きな調整をしており、東証REIT指数に連動するREIT-ETF(1343)は、2,134円から1,915円まで約10%下落した。

先月の記事で、「国債は日銀の買い入れにより、10年最長期国債利回り(長期金利)は5営業日連続して過去最低を更新しており、本日0.2%程度まで低下している」と書いた直後からの金利の上昇。そして、東証REIT指数の調整が始まった。

一方で、先週発表された三鬼商事のオフィスビル市況を見ても、既存物件および新築物件の募集賃料は2014年1月以降安定的に上昇してきている。もちろん、空室率に関しても、新築物件、中古物件ともに13年ごろから長い改善傾向を見せている。

既述の不動産の市況から、個人的には、不動産はまだ行けると思っており、一部現金化したものを、再度投資予定だ。日銀による、国債の購入はタイミングを見て行われるとみており、結果的に、J-REITや現物の不動産を既に保有している投資家は、先月同様、今月も特に何かをする必要はないのではないか。

不動産関連の会社のIPO(新規上場)も続いており、18日には、個人投資家に有名な「楽待」を運営するファーストロジック(6037・東マ)や投資運用事業および投資銀行事業を行う、ファーストブラザーズ(3454・東マ)の2社が上場された。J-REIT銘柄の上場だけでなく、年末に、不動産および金融アドバイザリー事情を行うビーロット(3452・東マ)なども上場しており、不動産を取り巻く環境は、まだまだ活況のようだ。

先月の記事でも少し書いたが、今回も今年から相続税が少し変わってので、不動産を使った相続対策に関して書いていこうと思う。今回は新規に金融機関から紹介のあった顧客で、都心の高層マンションを使った相続対策がしたいようで、タワーマンションの購入を希望していた。最終的に、今進めているスキームは以下の通り。

(1)被相続人名義でタワーマンションの購入

(2)購入後、ころ合いを見て、ご子息に当該物件を譲渡。この時に「住宅取得等資金の非課税制度」と「相続時精算課税制度」を組み合わせる。

顧客である父親側から「住宅取得等資金の非課税制度」と「相続時精算課税制度」を使って、3,000万円。母親から「相続時精算課税制度」を使って、1,000万円の合計4,000万円ぐらいまで贈与税をなくし、相続税として、その支払いを繰り延べることが可能だ。

なお、国税庁のホームページによると「住宅取得等資金の非課税制度は受贈者1人について500万円が限度となっているため、父からの贈与について非課税制度を適用して500万円を非課税とした場合には、母からの贈与については非課税制度の適用を受けることはできません。例えば、住宅取得等資金の非課税限度額の500万円を分けて適用することは可能です。〔父からの贈与の一部(例えば400万円)と母からの贈与の一部(100万円)として、残りをそれぞれの贈与について、相続時精算課税の特例を受けることも可能です〕」となっている。

これは、直系尊属である両親、祖父母などから住宅取得資金として贈与を受けた場合に、一定の金額までが非課税(平成26年度は最高1,000万円)となる制度を使っている。この制度は、単独で使うことも、「相続時精算課税制度」と組み合わせて使うことも可能だ。「相続時精算課税制度」と組み合わせて使った場合、最高3,500万円まで贈与税が非課税となる。詳しくは、お近くの不動産屋さんや税理士さんに確認してほしい。

(3)子供は当該物件に数年住んだ後、売却する。この時に「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を使うと、譲渡税の金額を減らすことができる。取得簿価は、当初被相続人が購入した時の値段を引き継ぐことになる。

ただし、売却した税金は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」によって支払わずに済むが、次の居住用住宅購入時は「住宅借入金等特別控除」(一般的には、住宅ローンの一部利子の控除)の適用で、その年の年末に所得税の還付が受けられるということはできない。残念ながら、どちらか一つの選択となる。

そこで、譲渡所得が少額な場合には、あえて「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を適用せず、「住宅借入金等特別控除」(一般的には、住宅ローンの一部利子の控除)を選択した方が有利なことがある。こちらも詳しくは、お近くの不動産屋さんや税理士さんに確認してほしい。

上記のようなタワーマンションを使った節税方法および、それに特例を組み合わせる方法はほかにもいろいろある。今回は具体的な数字や条件は記載せず、コンセプトを組み合わせ、贈与税や相続税の課税をいかに減らすかを書いた。タワーマンションがなぜ相続対策になるのか、そして、それが問題にならないのかなどは、来月書こうと思う。(本紙2月20日付12面)

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