テールリスクいろいろ 「とんでも予想2015」

概況


デフレの雪解け果たせるか

みずほ総合研究所・高田創 常務執行役員調査本部長、チーフエコノミストに聞く

高田創氏

高田創氏

年末年始にさまざまな「びっくり予想」が公表され、話題を呼んでいる。本家本元の米国著名ストラテジスト、バイロン・ウィーン氏はもちろん、日本版予想でも、JPモルガン証券のイェスパー・コール氏や、大和住銀投信投資顧問の門司総一郎氏など常連組がそろい踏みとなった。そうした中、今回新たに“参戦”してきたのが、みずほ総合研究所の高田創常務執行役員、チーフエコノミスト(写真)。表は「とんでも予想2015年」を各項目ごとに要約したものだが、予想を出した真意や、今年の日本経済や相場にどのようなイメージ、課題などを思い描いているのかについて話を聞いた。

――株式市場の観点から言えば、(1)-(5)は、できることなら免れたい、(6)-(10)なら、むしろ好ましいものとなっている。予想の実現可能性についてどうみているのか。

「あくまでも、可能性は低いが生じた場合に経済への影響が大きい、テールリスクシナリオの提示であり、当てようとして予想したものではない。とはいえ、それぞれ全くないわけではない。(6)-(10)についても、ここまでは達せずとも、その方向に向かう可能性は十分あるだろう。ただし、日本国債売りが加速して長期金利が9年ぶりに2%越えとなる(5)の可能性はかなり低く、10%もないとみている」

――ムーディーズに続いてS&Pの日本国債格下げも懸念されている。

「格下げだけなら影響は限られる。急激に円安が進む『日本売り』となるようなことがなければ全く問題はない」

――一昨年秋のアベノミクス相場始動後、大幅に円安が進んでいるが…。

「緩やかな円安であれば、企業業績には明らかにプラスだ。輸入型企業などにとっても、最近の原油安がデメリットをカバーするラッキーな展開となっている。そもそもバブル崩壊から25年間の長きにわたる『円高』と『資産デフレ』の流れが、企業のバランスシート圧縮やリストラを促す悪循環となっていた」

――異次元緩和などから円安基調が定着しつつあり、企業などの姿勢も変わってきているか。

「そう簡単にはいかない。『雪と氷』に閉ざされた状態が、世代を越えて四半世紀も続いたことで、人々のマインドは(冬に適応した)草食系に“進化”してしまった。日経平均が2倍となり、為替も5割円安に振れるなど、既に雪は解けてきているのに、まだ確信が持てないのが現状だ。同じ25年間とは言わないまでも、元の身体に戻るには、まだ2、3年はかかるのではないか」

――単にマインドの問題ではなく、少子高齢化も影響しているのでは。

「少子高齢化の流れは韓国、台湾などでも変わらない。日本だけで宿命論的に過大視されている。そもそも、バブル崩壊を機に、若い人の結婚、出産が減り、下方屈折する格好となった。逆オイルショックなど足元のグローバル経済は『バブル前夜』の1985年プラザ合意当時と似てきたが、今の日本人はノーテンキにバブルで踊るよりも、白装束で滝に打たれることを望んでいる」

――どうすれば“氷河期”を克服できるか。

「映画『アナと雪の女王』で、雪を解かしたのは『真実の愛』だった。デフレの雪解けを国民に確信させるためにも、安倍政権は絶えず政策対応を続けていかねばならない。『賃上げ』への働きかけもその一端だ。マインド変化が見えてくるのか、今年は極めて重要な年。安倍政権の“愛”が問われている」

みずほ総研「とんでも予想2015年」(各項目を要約)
(1)中国が外交積極化。日米等先進国のほか新興国とも対立し、孤立化。
(2)ベネズエラが原油安の影響等でデフォルト。新興国危機の連鎖へ。
(3)原油価格は6年ぶり30ドル台まで下落、ニューアブノーマルな世界に。
(4)TPP交渉決裂。日中韓FTAや日EUなど他の経済連携交渉も停滞。
(5)格下げ、日銀マネタイゼーション懸念で国債売り。長期金利2%越え。
(6)1ドル=140円台、日経平均2万3000円台。17年ぶり円買い介入。
(7)訪日外国人客2000万人肉薄。カナダ抜き、香港(2566万人)も射程。
(8)「指導的地位に占める女性30%(13年度7.5%)」などの目標達成。
(9)東京が国際金融センターのランキングで香港を抜いてアジアトップに。
(10)若年層が投資に関心高め、NISA10兆円突破。NISA恒久化実現。
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