楽観過ぎる米景気 指標に下向きトレンドの兆し

概況


欧州にも気になる動き

マーケット関係者にある共通の考えは、「米景気が回復かつ拡大をたどる」ということ。これを大前提にグローバルマーケットの当面のシナリオが描かれている。また今年の米金利引き上げは既定路線化しつつある。そこには金利引き上げを見送るような米景気の失速を疑う論調もほとんど見られないが、経済は生き物であり、断定できないのも事実だ。

最近発表の11月、12月の米景気指標はほとんどが市場予想を下回っている、雇用関連データを除いては。景気指標が市場予想下回っているのは、市場の強気見通しの目線が、実勢に合わなくなってきた表れといえる。このところ堅調だった米ISM景況指数は製造業、非製造業とも予想を下回った。水準自体がなお高く、悲観的にみる向きはいないもようだが、下向きに変化し始めた。6日発表の米12月ISM非製造業景況指数は56.2(11月は59.3)に低下、市場予想の58.0から下ブレた。2カ月連続の低下だ。生産、新規受注、雇用などすべての項目が低下した。それでも経済の拡大・縮小の分岐点である「50」を超えている水準は、「3.0%の米実質GDP(国内総生産)成長率に整合する」とマーケット関係者は予想。しかし、水準は高いが、トレンドを軽視すべきでないとの指摘もある。いったん傾いたトレンドは、ある程度続くパターンが多いからだ。短期的には慎重な見方も必要とみられる。

6日発表のユーロ圏12月コンポジットPMI(製造業とサービス業を合成したPMI。PMIは購買担当者指数)確報値は速報値の51.7から51.4に下方修正され、11月の51.1をわずかに上回る水準。10-12月期の平均は51.5と、「50」は上回っているが過去1年半で最悪のパフォーマンスを示している。これはユーロ圏10-12月期GDP成長率が前期比でわずか0.1%になることを示唆しているとされる。

また、時期としては、米より早いといわれた英利上げがしぼんでいる。同じ6日発表の英12月サービス業PMIは11月の58.6から55.8に悪化し、2013年5月以来の低水準に。コンポジットPMIも57.6から55.2に下落、19カ月ぶりの低水準。英の成長モメンタムが弱くなっていることを示しているだけでなく、過去数四半期に見られた強い成長が、「穏やかな成長に変化することも示唆している」と指摘されている。

欧州景気は下向きが継続。新興国もさえない。米景気は内需が好調だから海外の低迷に足を引っ張られる可能性は小さいとの見方が多いが、海外の変動で、「気がつけば世界景気に先行き不安の台頭」という事態が表面化することがないのか見ていく必要がある。

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