スマートベータ最前線 新指数「JSG200」に期待 第一生命保険 株式部国内株式グループ 岩渕康哉部長に聞く

インタビュー 概況


公的年金運用もスタート

岩渕康哉部長

岩渕康哉部長

最近、市場でもよく話題に上る“スマートベータ(賢い指数)”とは何か。昨春、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が「スマートベータ型アクティブ運用」開始を発表して以来、一躍脚光を浴びる分野だが、その割に個人投資家への浸透度は、いまひとつのようだ。前年上期の保険料収入で日本生命を抜くなど好調を続ける第一生命保険(8750)は昨年8月、新たなスマートベータ指数「ジャパン・スマート・グロース200(JSG200)」をDIAMアセットマネジメントと共同開発したと発表。自家運用に用いるだけではなく、多様な展開に向けて認知度向上にも取り組んでいる。株式部国内株式グループの岩渕康哉部長(写真)に話を聞いた。

――まずスマートベータの定義を聞きたい。TOPIXなど「普通の指数」とどこが違うのか。

「従来の指数のような時価総額に応じた加重平均ではなく、『財務諸表』や『株価変動率』などに着目し、一定のルールに基づいて銘柄を組み入れることで、パフォーマンスが市場平均を上回る『超過収益』の獲得を目指す指数だ。当たり外れが大きくなりがちなアクティブ運用に対し、一般的には運用の再現性やリスク抑制などが利点となる。運用委託する投資家の立場から見ると、低コストであることも利点といえる」

――スマートベータは今後、市場で本格的に普及していくとみるか。

「答えは『イエス』だ。それだけ魅力のある分野であり、実際に、年金基金などで導入が拡大しているほか、GPIFが運用対象に加えたことの波及効果も大きい。ただし、急激にとはいくまい。機関投資家はトラックレコード(運用実績)を重視する。過去にさかのぼって調べた『バックテスト』の実績は高くても、スマートベータの基準とする各種ファクターが市場環境の変化に対応できるのかについて、保守的に判断する可能性がある。手順を踏みながら着実に普及していくだろう」

――普及進展した場合、株式市場にどのような影響が及ぶのだろうか。

「従来型のTOPIX連動運用なら、東証1部上場銘柄はすべて時価総額なりに買われるが、スマートベータ運用では、成長性なり、配当なり、ROE(自己資本利益率)なりの、ファクターの網に掛かる銘柄が買われ、そうでない銘柄との間で2極化の様相を強めていくのではないか」

――第一生命の開発したスマートベータ「JSG200」の主な仕組みについて聞きたい。

「まず、時価総額や流動性を考慮して選んだ国内上場1000銘柄を投資ユニバースとする。このうち、今期予想ROEと直近2期平均ROEが上位400銘柄に含まれ、利益成長率が上位200以内に位置する銘柄を選定する。これらの構成ウエートについても、時価総額加重方式は用いず、理論企業価値算出モデルによって、割安な株のウエートを高めるバリュー運用的手法を用いている」

――バックテストによる運用実績はどうか。

「2004年3月末から今年3月末までの10年累積パフォーマンスは、配当込みTOPIXのプラス21.5%に対し、JSG200はプラス47.7%。年平均で2%の超過収益となった。リスクを意味する標準偏差が、それぞれ18.7%、19.2%とほぼ同程度であることから、良好なパフォーマンス結果と言えるのではないか」

――指数算出会社などの提供する「S&P GIBVI」「MSCI最少分散」といったスマートベータとどこが違うか。

「一般的なスマートベータはバリュー系ファクターに着目したものが主流だが、当社とDIAMアセットマネジメントで共同開発したスマート・ベータは、ROEや利益成長などグロース系の指数に着目した点に特徴がある。アベノミクスによるデフレ脱却の流れを踏まえれば、今後、グロース系が脚光を浴びてくるのではないかと考えている。昨今は、『JPX日経インデックス400』効果も加わって、ROEへの注目度が高まっており、一層のパフォーマンス向上を期待したい」

――相場状況が変われば指数も見直されるのか。

「もちろん、指数を作っただけで『以上、終了』というものではない。もともと開発に至る過程でも、何度も何度もシミュレーションしてはやり直す作業の繰り返しだったが、今後も適宜、運用プロセスの見直しを実施していく」

――「JSG200」はどのように運用に活用され、今後どのような展開を図っていくのか。

「共同開発したDIAMアセットマネジメントが機関投資家向け私募投信を設定し、クオンツ運用チームで運用しているほか、当社の13―15年度投融資計画でも最大200億円程度のスマートベータ型運用を予定している」

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