知らないと怖い 不動産市場の裏 回復著しい不動産市況 ―調整局面が追加購入のチャンス―

REIT 概況


REITは内外で収益成長続く

12月8日、日経平均はザラバで今年の最高値、1万8,030円を付けた。その後急失速し、17日のザラバ安値1万6,672円までで1,357円(7.5%)安と大きな調整を見せている。前週末12日には、ニューヨークダウが今年最大となる315ドル安で終わり、その後も下げが続いた。今回の下落理由は、いろいろ言われており、原油急落の余波や、中国経済の失速が背景とされるが、個人的には、クリスマス前の手じまい売りが主因ではないかと考えている。となると、当面なおさまざまなイベントがめじろ押しであり、先物主導で上にも下にも、まだまだ波乱がありそうな気配だ。

中でも原油の下落は甚だしい。S&Pの原油価格はリーマン・ショック時の最安値を優に抜いて安値更新している。しかし、アクアやプリウスの普及が物語るように、世の中はどんどん、エネルギーの原油依存から離れている。今回の原油安で飛んでしまったヘッジファンドや、苦しんでいる石油産業や商社を除けば、実はみんなHappyなのでは?とも思ってしまう。前回の11月暴落時と比較して、“恐怖指数”と呼ばれるVIX指数も上昇しているとはいえ、いま一歩のところで終わっており、ここは大きなポジションを持たない方が、心臓には良いようだ。ただ、今回の調整も一時的なもので、来週には落ち着いているのではないかと思う。

一方で、不動産市況はというと、中古オフィスビルは稼働率および募集賃料ともに上昇しており、回復著しい。ただし、新築オフィスビルはグラフにある通り、稼働率改善は続いているものの、募集賃料はあまり変わりなく推移している。REIT(不動産投信)市場はどうかというと、11月5日に上場した日本ヘルスケア投資法人(3308)は、初値が22万2,200円と、公募価格比50%近い上昇を見せた。11月27日には、トーセイ・リート投資法人(3451)が上場。こちらも初値は11万5,000円と、公募価格比10%以上の高値で取引されている。さらに、今月12月3日には、大型物件3棟を保有した積水ハウス・リート投資法人(3309)が上場した。初値は13万5,000円と公募価格比20%以上もの高値だ。安定配当金は年4,400円で、現在の価格から計算する配当利回りは、3.3%と非常に低くなっている。長期国債の金利が0.4%を切る水準なので、配当利回りと国債金利のスプレッドは3%と非常にタイトになってきている。そのほかのREITも、ほとんどが3%程度となっており、同じことが言える。ただ、日銀による国債の買取が続いており、さらにNISA(少額投資非課税制度)口座による購入も続くREITの価格は、今後も順調に推移するのではないか。今回の7%超の日経平均調整時においても、この間の下落は、ほとんどないか、恐ろしいことに、むしろ上がっている。

国内のREIT市場が活況だが、実は海外のREITも非常に順調だ。例えば、ラサール・グローバルREITファンドを12年初頭に購入し、現在までの3年間継続保有している投資家は、130%ものリターンを得られた。先月発表されたParamount GroupのオフィスREITのIPO(新規上場)は、米国REIT市場としては過去最大の約23億ドルとなった。同REITは、ニューヨーク、ワシントンDCおよびサンフランシスコを中心にオフィス物件に投資し、今後も人気が継続しそうだ。ちなみに、世界的な低金利環境によって、日本だけではなく、世界中で今後も不動産市場は好調が続くとみられている。結果的に、REITの保有する不動産の価値も上昇が見込まれ、将来的にも、まだまだキャピタルゲイン獲得が見込まれる。今後は、来年行われるであろうアメリカの利上げとともに、グローバルで穏やかな景気改善が進むにつれ、長期金利の緩やかな上昇も予想される。景気回復局面の賃貸需要増加に伴う賃料成長など不動産市況の改善が、REITの収益拡大を促すとともに、不動産価値を下支えするのではないか。なお、あるレポートによると、グローバルREITの収益成長率は今後18年にかけて6%超になると予想されている。まだまだ不動産市場は面白そうだ。

個別の物件に関しては、先月も書いた通り、引き続き市場に投資対象となる物件が少ない。来年度から始まる相続税の新制度によって、物件購入検討の話が多く、投資対象となるような物件はすぐに話が入る状態だ。既に保有している人はひとまず売り時を間違えないようにしつつ、上手に外国人の買い手や、既述の相続対策の投資家に売却できるよう、焦らず売却プロセスを進めていこう。

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