知らないと怖い 不動産市場の裏 消費増税延期が住宅市場に好影響 追加緩和も金利低位安定に貢献

REIT 概況


すそ野企業の経営環境改善進む

前回の記事以降、不動産市場の環境が劇的に変わった。まず、10月末の日銀による追加緩和の決定、およびGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による資産配分の変更。そして、今週17日発表のGDP(国内総生産)マイナス成長後の、安倍晋三首相による21日衆院解散と消費増税1年半延期決定。個人的には、これらの事象は不動産市場にいい影響を与えるのではないかと思っている。

以下に示す、アメリカ経済の安定的な回復と成長により、ニューヨークダウやNASDAQ指数に安定的な上昇が見られる。先月10月29日にFRB(米連邦準備制度理事会)が開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)で、QE3(量的緩和第3弾)終了を決定したことからもよく分かる。FOMCによる発表を見ると、労働市場を巡る判断を強めるとともに、景気回復への自信を表明している。なお、これは最近の金融市場の振れや欧州経済の低迷、弱い物価見通しなどをそれほど重視しない姿勢を示したものと思われる。

それからほどなく日銀は追加緩和を発表した。その内容は、マネタリーベースを年間約80兆円増加させるペースで資産買い入れを行うというもので、これまでに比べて10兆-20兆円の追加となる。資産買い入れは、長期国債を年間約80兆円、ETF(上場投信)を年間約3兆円、J-REIT(不動産投信)を年間約900億円、それぞれ保有残高が増加するペースで行う予定だ。日銀はJ-REITを直接購入するだけではない。日本の国債市場で、昨年度は日銀が国債純増額の1.6倍を買い入れ、今年度は1.9倍、向こう1年では2.4倍を買い入れる予定のため、不動産投資用ローンなどは、現在の長期金利が急激に上昇するリスクは限りなく小さそうだ。すなわち、不動産を購入するときのコストが低位安定するため、非常に不動産投資がやりやすい環境になってきている。2012年末発足の安倍政権において、13年夏以降の稼働率改善は16カ月続いている。また、募集賃料に関しても今年の1月以降10カ月連続で改善が継続中。まだまだJ-REITを含めた不動産投資市況は回復・改善の状況にあるようだ。詳しくは、グラフの三鬼商事のオフィス市況を参考にしていただくとよく分かると思う。

TOTO(5332) 週足

TOTO(5332) 週足

さらに、18日に安倍首相が発表した消費増税の1年半延期は、不動産、特に住宅市場に好影響を及ぼしそうだ。今後のボーナスなどが上昇する一方で、消費税が予定通り上がらず、可処分所得が増えることで、昨年来続く、一戸建てを中心とした住宅着工件数の下落に歯止めがかかるのではないかと関心を呼んでいる。大和ハウスや積水ハウスなど大手4社の一戸建て住宅受注件数も、13年秋以降減少していたが、今回の増税延期がどのような好影響をもたらすか楽しみだ。みずほ証券のレポートを見ると、賃貸住宅の大手4社(大東建託、大和ハウス、積水ハウス、レオパレス21)を投資判断「買い」としている。今回の一件で、新規の工事受注に加えて、相当数の運営管理中の賃貸住宅からの安定した賃貸収入、およびそれらの建て替え需要などが見込めるためである。パワービルダーだけではなく、住宅に必要な部品メーカーに関してもいい影響を及ぼすのではないかとも思っている。有名なところでは、TOTO(5332)LIXILグループ(5938)になるだろう。

個人サイズの不動産に関しては、外国人の購入と、相続税対策に伴う売買が増えてきた。来年以降に始まる新税制の下、マスコミが相続税に関して伝えれば伝えるほど、この手の相談およびそれに伴う売買は増えていきそうだ。来年以降ますます楽しみだ。

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