「米国株投資の魅力」 第2回 米国に投資すべき2つの理由

概況


米国株投資の魅力に迫る本連載。今回は魅力の“根源”とも言える2つのポイントを紹介します。

理由(1)先進国で唯一、人口が増加している

図1

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米国のGDP(国内総生産)は世界一だ。しかも拡大が続いている。一方、日本のGDPは長らく横ばい傾向にある(図1参照)。GDP成長率の差は、言い換えれば「経済力の差」とも。

米国GDPの拡大トレンドは、米国が先進国で唯一、人口が増加していることと大きく関係する。言うまでもなく、国の成長は人口の増減と密接にかかわる。例えば日本。人口は2010年をピークに減少に転じた上、少子高齢化の進展で労働力縮小が加速。この先の成長鈍化が懸念されている。

一方の米国は「移民の国」。今のアメリカを形成したのも英仏からの移民(入植者)であったし、しばしば「人種のるつぼ」と表現されるように、世界から多様な人種・民族が集まって多民族国家アメリカの成長を支えてきた。現在でもメキシコや中南米などヒスパニック系住民の多い南部を中心に、着実に人口が増え続けている。(図2参照)。

図2

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「変化」はいつも米国から!

増加を続ける世界第3位の人口と多様性に富んだ人種は、旺盛な個人消費で米国の経済成長を下支えするだけでなく、あらゆるイノベーションを生み出す土壌でもある。マイクロソフトのビル・ゲイツやアップルのスティーブ・ジョブズなど、革新的なイノベーションを実現する若手起業家や優秀な経営者の輩出を可能とした。

インターネットに代表される新しい技術やサービスなどイノベーションは、いつの時代にも米国から生まれてきた。日本企業においては、米国企業の技術・製品が生み出す大きなトレンドの下流で製造のごく一部分にかかわるのみという状況が、多くの産業で発生している。世界で最も収益を上げているのは、合理的でスピーディな経営判断を得意とする米国企業であり、今後もこの流れは続くだろう。

理由(2)「合理的な経営判断」と「株主資本主義」で高リターンを実現

米国企業は「選択と集中」に長けている。日本企業もスローガンにこれを掲げているが、残念ながら行動が伴っていないケースが多い。

例えばIBM。かつて世界最大のコンピューターメーカーだった同社は04年12月、主力事業の1つであったパソコン事業を中国レノボ社に売却すると発表して市場を驚かせた。同社は世界で初めてハードディスクドライブを開発し、ノートパソコン「ThinkPad」など圧倒的なブランド力を誇っていた。しかしながら、パソコンの普及に伴って同事業の利益率は低下傾向に。DELL、HPなど競合メーカーの台頭で迫り来る苛烈な価格競争時代を見越しての決断だった。

当時、中国のパソコン市場は夜明け前という段階にあり、「ThinkPad」というトップブランドの獲得は、シェア拡大を狙うレノボにとっても理想的な商談。思惑通り、レノボはその後10年近い年月をかけて、13年にパソコンの世界シェアトップに上り詰めた。IBMのPC事業売却は、まさに10年先を読む素晴らしい経営判断だったと言えよう。

そんなIBMの決断から遅れること10年。ソニーは、事業採算が悪化して赤字が拡大していたパソコン事業を今年7月、プライベート・エクイティファンドに売却した。この経営判断力、機動力の違いが、日米企業の成長性の違いに直結しているといえよう。

世界トップレベルの経営陣が利益最大化に尽力

ちなみにIBMは現在ITコンサルティング事業に注力している。時代に合わせて収益事業を売却しつつ新事業に着手するなど、姿を変えることで効率的な経営を続けてきた。

効率経営といえば最近、日本でも「ROE(自己資本利益率)」の注目度が高まっている。「株主の投資額に対してどれだけ効率よく利益を獲得したか」を判断する指標だが、国によって水準が大きく異なる点に留意すべきだろう。日本株(TOPIX)の平均が約8%であるのに対し、米国株(S&P500)の平均は約21%と、ここにも日米企業の経営の質の違いが表れている。

IBMのように、米国企業の経営者は事業再構築に積極的だ。即時のスリム化もいとわない。労働法制によりリストラ断行が困難な日本企業とは対照的。事業売却後に経営資源を別事業に集中的に投下して、利益の最大化を図る。このことが、常にイノベーションを生み出し、再びそこに人と資本が集まる好循環を裏で支える仕組みにもなっている。多様性を尊ぶ文化は企業経営に対しても“均質化”を求めない。他社が踏み込んでいない事業領域に勢いよく飛び込むことで成功を勝ち取った企業が生き残る、真の競争社会といえる。

世界中の機関投資家が参加する米国株式市場にあって、上場企業の経営者は常に「結果」を求められる。経営者は事業の成長に加えて株主還元への意識も高く、配当利回りが5%を超える大型株も珍しくない。中にはP&Gのように60年近く増配を継続する、優れた経営を継続している企業もある。

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