知らないと怖い 不動産市場の裏 J-REIT 複合ショックにも底堅さ保つ―経済実態改善が相場動かす―

概況


海外投資では吟味必要に

日経平均は、9月25日に年初来高値である1万6,374円を付けて以降、1万4,500円程度まで大きく調整していた。一方、日経平均先物も、安値1万4,370円と現物指数以上に大きな調整を余儀なくされた。この流れは、日本だけではなく世界的に広がっており、この1カ月程度調整局面となっている。具体的な世界の株価は以下の通りで、2014年は苦しい展開のようだ。年間上昇率1位のアルゼンチンこそ例外的に、最近の下落を踏まえても、13年末比で上昇率95.6%となっているものの、2位のインドは上昇率23.3%、3位のフィリピンも同18.9%と苦しい展開が続いている。4位以降もタイ、インドネシア、ベトナムと、なんだかんだ言って、今年も東南アジア勢が貢献している。一方で、年間下落率トップのロシアは13年末比-25.6%、2位のギリシャは-19.2%となっている。わが日本は、下落率第3位で、-10.8%に達している。さらに、8月以降急激な円安を続けてきたドル円相場も、10月1日に1ドル=110円を付けた後、ここ数週間で同105円まで大きく調整した。これらの原因は、7日付日本経済新聞の見出しによると『世界成長3.3%に減速 14年IMF予測、日本を大幅下方修正』となっており、そこからググッと下落している。もちろん、さらにエボラの感染ニュースなどが複合的に絡み合って今回の下落に至っている。

先日、フィリピンへ出向き、都心のコンドミニアム、商業施設、そしてリゾート物件を見学してきた。大都市圏の開発はすごいスピードで行われている。一方で、賃貸や運営のノウハウがまだできていない印象を受けた。日本人用に販売を行っている会社の関連会社が賃貸管理を行っているケースが多く、日本語は話せたが、管理や運営の知識まであるのかは不明だ。営業力を武器に、ものすごい数の不動産を販売しているようだが、メトロマニアの雰囲気や建設工事ラッシュを見ると、成長著しいのは分かるが、引き渡し後のことまで考えて投資を行わないと痛い目を見ることになりそうだ。商業施設などには、賃料を支払わずに夜逃げ状態となり、これから訴訟が必要となる案件もあるようで、投資を行う前に吟味が必要だ。

話を国内の不動産に戻すと、三鬼商事の9月までの事務所ビルのマーケットを見る限り(グラフ参照)、稼働率も、募集賃料も、新築・中古ともに上昇傾向を示している。前回の景気回復時を参考にすると、稼働率が96%を超えるあたりから、募集賃料が急激に上がってくるようだ。今の流れで行けば、あと半年から1年間ぐらい、すなわち15年の下半期ぐらいには、デベロッパーが超強気モード、いわゆる好景気となりそうだ。J-REIT(不動産投信)の投資口価格も06年下半期から急激に上昇している。そのため、このままマーケットの回復、そして成長が続けば、今回もJ-REITの投資口価格は15年下半期から16年あたりには力強い上昇となりそうだ。直近の各J-REITのLTV(総資産負債比率)から投資余力を見ると、三井不動産系のフロンティア不動産投資法人(8964)野村不動産マスターファンド投資法人(3285)星野リゾート・リート投資法人(3287)あたりは非常に高い投資余力を持っているように見える。後はスポンサーが、いかに収益性のよい優良物件を提供し、投資法人を成長させることができるかにかかっている。9月の取得実績を見ると、GLP投資法人(3281)の360億円の物流施設が飛び抜けて大きく、その後にインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)の160億円の横浜の事務所ビル、野村不動産マスターファンド投資法人の155億円の商業施設が続いている。9月末ということもあり、いろいろな取引が行われたようだ。J-REITに関しては、今回の大幅な調整局面においても、ファンダメンタルズの大幅な回復から、大きな下落はなく、順調に大きくなっているようにみえる。まずはどっしり構えて、配当重視の投資でもいいのではないか。

10月に入って、個人投資家用の物件はさらにタイトになってきており、自己資金のある人以外購入できない状態が続いている。仲介として、来月決済予定の2物件も駅から距離があり、あまりお勧めできるような物件ではない。それでも買取・即転業者がさらに高値のエンドを付けて買っていく…。えらい状態だ。

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