「米国株投資の魅力」 第1回 米国は世界屈指の成長市場、20年で株価は4.5倍に

概況


米国の代表的な株価指数、NYダウのチャートを眺めながらいつも思うこと――日本の株式相場が長らく低空飛行を余儀なくされてきたのに、なぜ米国の株式相場だけが上がり続けられるのだろうかという疑問だ。それは米国の独り勝ちの反映ともいえるが、日本株投資と同じように「米国株投資が手軽にできれば」という思いに駆られる投資家は少なくないはずだ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もようやく重い腰を上げて外国株投資のウエートを高めるというタイミングとも相まって、外国株への投資が関心を集めそうだ。そして、外国株の中心は何といっても米国株。3回にわたる本連載では「日本の投資家は米国株に投資すべき」をメーンテーマに据えて、米国株投資の魅力を追った。既に米国株を手掛けている既存の投資家は今まで以上に注目し、初心者は米国株を持たざるリスクを認識していただきたい。

“右肩上がり”が超長期にわたって続く米株式相場

米国株の最大の魅力は何だろうか。NYダウのチャートを見ればすぐに気が付く。超長期にわたって右肩上がりの相場展開だ(図1)。ニューヨーク証券取引所で取引が開始してから約200年が経過しているが、200年間上がり続けているといっても過言ではない。

図1

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この間、いくつも経済危機に見舞われた。最近でも1987年10月のブラックマンデー、2000年のITバブル崩壊、01年9月の米同時多発テロ、08年9月のリーマン・ショック、10年5月のギリシャ危機など…。こうした危機をことごとく乗り切り、13年3月5日にはNYダウがリーマン・ショック前の高値を更新。足元では1万7000㌦を突破してきた。

こうした力強い復活の背景には、金融危機に対する米国当局の迅速で弾力的な対応と、米国企業の活力がうかがわれる。過去の相場展開が教えているのは、例えば、NYダウに連動するETF(上場投資信託)を買っていれば、過去のどのタイミングであっても利益が得られるということだ。しかもリターンも大きい。1994年から2014年までの20年間で見ても、NYダウは約4.5倍に成長している。これに対して日経平均はほぼ横ばいにとどまっている。これだけの格差があるのなら、当然、本邦投資家の米国株投資に対する意欲が燃え上ってもおかしくないが、実際はあまりそうはなっていない。

「世界の株式市場の中心は米国株」という意識

図2

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日本の投資家は「株式投資といえば日本株」という固定観念を持っているため、グローバル視点で投資対象を見極めるきっかけに乏しいのが実情だ。世界の証券取引所の時価総額ランキング(図2)を見ると、ニューヨークとナスダックという米国の2大市場が世界全体の5割を占めている(グラフは単純時価総額だが、浮動株を考慮すると米国市場だけで約5割まで高まる)。東証は大証と合併したこともあって世界第3位の位置にあるが、それでも規模ではナスダックの7割弱、ニューヨークには遠く及ばない。米国株式市場はまさに株式市場の中心といえる巨大なマーケットだ。

グローバル視点では、東京はローカルマーケットと言わざるを得ない。世界の投資家(中心は機関投資家だが)のスタンスとして、ローカルマーケットの日本株に対するエクスポージャーを極端に増やす運用方針はなく、投資妙味があれば、ポートフォリオ(資産構成)の中で一部として持つにすぎない。

日本人の米国株投資を阻む言葉の壁と米企業への認識不足

それではなぜ、本邦投資家は米国株投資に消極的だったのだろうか。

まず言葉の壁が大きいようだ。米国企業に投資しようとしても決算発表や材料浮上、ニュースなどの一次情報はすべて英語で書かれているから、日本の投資家の大方はここでつまづく。これらが翻訳されてニュース端末などを通じて日本語で読めるタイミングは、このネット社会の現在でも半日から1日遅れとなる。日本の個人投資家にとってはタイムリーな投資機会を損ねているとの思いがある。

米国を含めた外国企業については「ビジネスが良く分からない」との思い込みもあろう。日本の金融資産分布と同じく、個人投資家の株式運用資産も高齢層が多数を占める。高齢の個人投資家は、長年見てきた日本株について十分な情報を得ることができ、経験の蓄積もある。海外株式に目を向けなくても特に支障はなかった。いまさら、よく分からない外国株投資に目を向ける必要がないわけだ。

しかし、米国株投資にかかわる言葉の壁も投資タイミングの問題も、既に解決されているとしたらどうか――。インターネット証券会社では個人投資家が米国株投資を抵抗なく開始できる取引環境を構築しているところもある。

2つの思い込みからの解放が米国株投資の第1歩

「米国企業のビジネスが分からない」も誤解だ。日本企業はグローバル進出を推し進めているが、米国企業は経営もビジネスも、日本企業よりはるかに先んじてグローバル化を進めてきた。日本の投資家がそのことを意識しないうちに進んでしまっているが、特にIT、ハイテクの分野を中心に米国米企業のプレゼンスが非常に高まっている。

日本人が日々の生活で当たり前のように使っているパソコンやインターネット、スマートフォンなどはすべて米国発の技術だ。製品や部品の多くは、製造コストの安い米国外で委託生産されているが、技術は米国企業が開発したもの。われわれの生活を振り返ってみると、米国企業が提供している製品やサービスがあふれている。もはや、それらが無い生活は考えられないレベルにきている。

 

まずは日本の個人投資家が“思い込み”から解放され、認識を新たにすることが、米国株投資への第1歩といえよう。もちろん、米国株が儲かるからと言って、全財産を米国株につぎ込めというわけではない。リターンとリスクのバランスを考えて、自分のポートフォリオの一部に米国株を組み入れることが重要だろう。

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