市場関係者座談会 バブル後の1991年を彷彿 消費再増税で最悪シナリオも 転げ落ちないため自己防衛を

概況


市場関係者A「『消費増税の影響は軽微』という報道キャンペーンは鳴りを潜め、御用メディアも『消費増税の影響は想定以上』と報道し始めた」

市場関係者B「誰の目にも影響は明らかで、フォローのしようがないからね。東京と地方で景気回復に格差があることも報じられるようになってきた」

市場関係者C「経済基盤が弱く、車社会でガソリンが必需品の地方の方が、消費増税の影響が大きいからね。ただ、東京など大都市においても景気はあまり回復していない」

市場関係者A「政府やエコノミストの多くが消費増税の影響をなぜ見誤ったのか。1つには、『有効求人倍率』と『失業率』の裏にある現実を見なかったことが一因と考える。これらの数値は、時給が低いパートタイムまで含んでしまっており、数値が改善したとしても、生活に必要なお金を稼げる職業についていない人の割合は高止まり。これでは消費が回復するはずがない。いまだに有効求人倍率や失業率のデータを見て論評する人は、実態を見ていないと考えていい」

市場関係者B「1人働いたら一家を養える時代ならば、有効求人倍率、失業率を用いた論評も通用しようが…。少し前までは2人働けば賄えたが、今は2人働いても職業によっては生活が苦しい時代」

市場関係者C「軽減措置も今回はないしね。1989年4月の消費税導入時は同時に物品税が廃止された。ちなみに、物品税で広く国民に影響があったのは自動車にかかる物品税で、3ナンバーは23%、5ナンバーは18.5%、軽自動車は15.5%であった」

「97年4月の消費税率引き上げ時、国民負担増は5兆2,000億円、同時に行われた特別減税廃止や年金医療保険改革を加えると計8兆7,000億円の国民負担増。さらに所得税と住民税の特別減税廃止で2兆円、社会保険料引き上げで6,000億円、医療費自己負担増(1割→2割)で8,000億円の国民負担増。その後、98年に所得税と住民税で4兆円の特別減税、99年に所得税と住民税の定率減税で6兆円と、後追いで増税分を超える対策を打つも景気が大幅に悪化した」

「2014年4月の消費税率引き上げでは、国民負担は8兆1,000億円増。このほか、厚生年金と国民年金保険料引き上げで8,000億円増、診療報酬改定などの負担増もある。賃金上昇を上回る物価上昇も踏まえると、先行きが思いやられる」

市場関係者A「小売り経営者も危機感を持つ人が増えてきている。今年4月から多くの小売り企業は値札の表記を『税抜き価格メーン』に変更し、従来通り『税込み価格メーン』にしたのは、良品計画、しまむら、コスモス薬品、西松屋チェーン、カインズなどベイシアグループ(カインズなど)と少数派。しかしながら『支払額が分かりにくい』という顧客からの声を受け、一部ホームセンターが8月から『税込み価格メーン』の表記に変更した。今のところ価格表記の変更だけで、顧客が支払う金額は変わらないが…」

市場関係者B「それは気になる動きだな。税込み価格メーンの表記に変える小売りが今後増えてくるようだと、①以前のように税込み価格の下1ケタを『8円』(下2ケタなら80円)に揃え、値下げ合戦開始(102円は98円に)②消耗戦になり、小売り、卸売り、メーカーが経営悪化③消費税率10%への引き上げでさらに景気悪化――という最悪のシナリオも。参考までに、食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターでは、売れた商品の8―9割が下1ケタ8円、または、下2ケタ80円に価格設定されたもの。以下、『9円』『0円』『5円』と続く」

市場関係者C「小売り企業の対策は、一にも二にも『集客力向上』。集客力が高い企業は、不況になった時、より強くなる傾向がある」

市場関係者A「感覚的に今は、株価や景気のピークは過ぎたが、誰も不景気になるとは思っていない“バブル後”の1991年あたりに似ているように感じる。円高やデフレ、人余りのピークは過ぎたが、本格的な円安、インフレ、人手不足が来ると思っていないのが今。前提条件が変わったことをいち早くとらえ、変化に対応したいものだ。過去20年で成功した経営者の中には、円高やデフレ、人余りの恩恵を受けた人が多いが、状況は大きく変化してきている。データ重視の合理化は通用しなくなろう」

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