深層を読む 理想買い一巡後に2つのシナリオ 利益確定売りと押し目買い均衡 カギを握るは、やはり外国人

【深層】を読む 概況 連載


昨年11月の衆議院解散をきっかけにした日本株市場の上昇は、多くの市場関係者の期待を上回るものへと成長している。アベノミクスが相場に久しぶりの活気をもたらしているのは頼もしい限りだ。その点では、安倍政権のもくろみの第1段階は、間違いなく「成功」だったと評価できよう。ここまでの相場展開は、あくまでも理想に想像力で肉付けして築き上げてきた期待感先行の相場であり、実際の成果が伴ってくるのはこれからとなる。先週相次いだ四半期業績発表で、多少の業績予想上方修正は見受けられたものの、まだ現在までの上昇相場を正当化できるほどの迫力ではないのも事実だ。幸運にして、昨年末からの上昇相場に乗れた投資家にとっては、そろそろ一度、利益を確定したい気持ちになってもおかしくないタイミングにある。一方で、乗り遅れてしまった投資家にとっては、数年に一度の上昇相場に飛び乗る機会を探る時期でもあるだろう。両方の勢力が均衡するとき、相場として1つの踊り場が近くやってくる可能性が大きいと考えている。

日経平均 週足5年 MA(25/75)

日経平均 週足5年 MA(25/75)

投資家としては、この先の相場展開を考え、色々なリスク要因を点検する必要がありそうだ。日本株にとってのベストシナリオは、円安がこのまま100円台へと進行し、相場水準そのものも日経平均1万2000―1万3000円台へと進むシナリオだ。安倍政権が改革マインドを失わず、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などに対しても積極的な政策を継続することができ、さらに日銀が一段と積極的な緩和姿勢を続けるとなれば、外国人投資家が、より大きな買い勢力として登場する可能性が考えられる。そうなれば、過剰流動性相場が強まることから予想以上の上昇の可能性も考えられる。

一方で、ここまで矢継ぎ早に積極的な政策展開を進めてきた安倍政権が、参議院選挙を控えて旧来的な「票集め」的な政策に没落してしまうのであれば、ここまで盛り上がった期待感が急速にしぼんでしまうリスクもある。円安にブレたことによる輸入物品価格上昇などのネガティブな要因に焦点が向かい、物価が上昇する割に給与所得が上昇しそうにない不満感、さらに国債に対する信用低下(=長期金利上昇)が重なってくる懸念が考えられる。そうなれば、現時点では実績数値以上に上昇してしまった日本株の調整は避けられず、円安・株安・債券安のトリプル安相場を招くシナリオも有り得ない話ではない。

日本株を需給面から考えると、現時点で1番買い余力を持っていると考えられるのは、やはり外国人投資家だ。市場関係者の推計を総合すると、現時点でも、外国人投資家は日本株をアンダーウェイトしていると考えられている。日本国内の年金資金は、団塊世代の引退という構造的な要因があり、この先も日本株を大きく買い越す可能性は低い。この先、急激に投信ブームが起きるとも考えにくく、日本国内の資金が相場の大きな買い手になるシナリオは可能性が低い。また、公的資金は基本的に逆張り戦略なので、相場上昇時には静かに戻り売りを実施するのがポリシーで、その道から外れる理由は見当たらない。2005年の小泉郵政解散相場の時、外国人投資家の大量買いが相場の原動力となったが、今回の相場では、まだそこまでの買いが入っておらず、計算上は、かなりの買い余力を残している状況にある。この先、安倍政権が国内的だけではなく、どう外国人投資家に訴えかける政策展開を実施できるかに期待したい。(心配性)

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