「楽しみは4年後に」 日経平均2万円への道 第一生命経済研所副主任エコノミスト・藤代宏一氏に聞く

インタビュー 概況


名目GDPピークが号砲

藤代宏一氏

藤代宏一氏

サッカーW杯の日本代表敗退が決まった6月25日に、「楽しみは4年後に」と題するレポートを発行したのが第一生命経済研究所の藤代宏一副主任エコノミスト(写真)。といっても、次回・ロシアW杯の話ではない。IMF(国際通貨基金)試算では、4年後の2018年には、日本の名目GDP(国内総生産)が536兆円と約20年ぶりのピーク更新となるとか。グラフ参照の通り、超長期での「名目GDP」と「日本株」の連動性に着目する藤代氏は、名目GDPが縮小を始める直前の1996年後半の株価水準(日経平均2万円)まで、4年以内に(早ければ来年にも)回復しても不思議はないと指摘する。その背景などについて詳しい話を聞いた。

――物価変動分を調整した実質ベースではなく、名目ベースのGDPを重視する理由は何か。

「名目ベースで経済規模が拡大しないと、賃金は伸びないし、収益アップを図るにもコストカットに頼らざるを得ず、縮小均衡に陥る。まだ名目ベースの伸びが実質を上回る名実逆転には至っていないが、最近のデフレ脱却機運の下、名目GDPが上向いてきたことは確かだ。各指標を見ても、振れの大きい食料品やエネルギーを除いた『コアコア』の消費者物価指数や企業向けサービス価格指数、また先の日銀短観で示された雇用判断DIなどは90年代前半の水準を回復している」

fig――IMF試算の妥当性をどう見ているか。

「おそらくは財務省から出向した日本人の手によるものとみられ、毎回過大予想気味だが、その辺を割り引いても、520兆円台だった97年水準を4年程度で上回るのは難しくない。直近の486兆円から、年率1%の物価上昇を含め2%台前半の成長でいい。今後も、物価上昇率の1%割れ定着は想定しづらい。まだ円安分で価格転嫁し切れていない部分も残るが、賃金上昇、失業率低下が進む現状は、かつてないほど価格転嫁を行いやすい事業環境にある」

――消費者にとって増税やインフレ分などのコストが上昇しており、消費減退による経済への悪影響も懸念されるが…。

「労働者1人当たりの実質可処分所得が3-4%減少となる一方、雇用者数増加に伴う日本人全体の所得は逆に2-3%増えている。懸念は残るが、深刻な事態とは言えないだろう」

――そもそも実質値でもGDPは伸びているか。

「日本は今年1-3月で過去最高を更新した。3年前に更新済みの米国はともかく、欧州各国などには決して引けを取っていない。米国経済は完全に景気拡大の流れに乗った。昨年、いったん住宅が落ち込んでも、消費、設備投資が穴埋めしているうちに再び持ち直してきた展開が典型的。よほどの想定外のショックでも訪れない限り、流れは変わらないだろう」

――中国経済の減速傾向などは死角にならないか。

「従来、でき過ぎだった反動が生じている。生産年齢人口減少に伴う景気減速自体はあらかじめ分かっていたことだ。あえて死角を探れば、原油高に伴う米国の物価上昇と金融政策の齟齬(そご)だが、可能性は小さいだろう」

――名目GDPピーク更新の想定される4年後に日経平均2万円乗せか。

「名目GDPピーク越えの方向が見えてくれば株価の先見性発揮も可能だろう。2年後の達成も十分あり得るし、来年中だってなくはない。日経平均2万円と言うと『アホか』と思われそうだが、時価からほぼ3割高で手が届く水準だ。昨年の例に照らせば、2カ月程度でも到達可能。PERで17-18倍。相場というもの、いったん動き出せば、理由は後から付いてくるものだ」

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