2013年中小型株見通し  堅調予想、主力株以上の活躍期待 

セクター 概況


当面は金融・不動産、インフラ関連、為替敏感株などに注目

インベスコ投信投資顧問
株式運用第二部部長 日本株グロース チーフ・ポートフォリオ・マネジャー 得能修氏
株式運用第二部 日本株グロース ポートフォリオ・マネジャー 高世智明氏

インベスコ投信投資顧問 得能修氏、高世智明氏

左から 得能修氏、高世智明氏

昨年11月14日の野田前首相による衆議院解散宣言を機に、中小型株市場も相場つきが一変し、リーマン・ショック後のボックス圏相場から抜け出してきた。2013年の中小型株市場をプロはどうみているのか。インベスコ投信投資顧問の株式運用第二部部長 日本株グロース チーフ・ポートフォリオ・マネジャーの得能修氏と、株式運用第二部 日本株グロース ポートフォリオ・マネジャーの高世智明氏に市場見通し、注目テーマなどを聞いた。

■2012年の中小型株市場を振り返って

「野田前首相による衆議院解散宣言を機に始まった怒涛(どとう)の株価上昇が、デフレ脱却・円高終焉(しゅうえん)をテーマとする外国人投資家主導によるものだったこともあり、2012年の中小型株市場は堅調ではあったものの、TOPIXなどの大型株指数に対しては若干割り負けた感は否めない。それでもIPO(新規上場)件数は11年の37社から12年は48社まで回復、対公募価格の初値状況も月を追うごとに上向きとなるなど、主力株同様に『終わり良ければすべて良し』の年となった。とりわけ12月は公募価格に対する初値上昇率が15社平均で54.9%に高まり、個人投資家の投資余力、リスク許容度の力強い回復をうかがわせるものとなった」

「こうした中、われわれは昨年11月中旬から1月中旬までの間、安倍新内閣の政策実現可能性を注視し、政策の恩恵を受ける分野を熟慮。ミクロ調査も踏まえ、結果的に銘柄入れ替えを行った」

IPO件数とIPO銘柄の騰落率

■2013年の中小型株市場をどうみるか

「主力株と同様、安倍新政権の経済政策、世界景気動向、投資家動向、企業収益、バリュエーションなどから見て、中小型株市場も比較的堅調な展開になると予想している。それに加え、(1)技術革新(2)規制緩和(3)投資家のリスク許容度–次第では、中小型株市場は主力株以上の活躍が期待できるのではないかと考えている」

■キーワード(1)技術革新

「京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥氏のノーベル医学・生理学賞受賞に日本中が沸いた。その後、中小型株市場ではiPS細胞関連などのバイオ関連銘柄に注目が集まり、にぎわっている。このほかにも、技術革新の域ではないかもしれないが、スマートフォンやソーシャルゲーム関連銘柄が、新たな成長を享受する分野として脚光を浴びている。2013年も投資家をわくわくさせるような新しい技術革新の誕生が期待される。スマートフォンが普及期を迎えたことから、スマートフォン向けツールやコンテンツ、インフラへの注目度も高まってこよう」

■キーワード(2)規制緩和

「安倍政権の主要経済政策の1つである『民間投資を喚起する成長戦略』の施策に大いに期待している。具体策は6月までにまとめられる予定だが、これまで話題になることが多かった環境、農業、バイオ・医療などの分野に加えて、新たな領域での規則緩和が促進されれば、新しいテーマとして注目が集まるだろう。祖父母から孫への教育費贈与に関する非課税枠創設なども規制緩和の1つととらえられる。成長に向けて規制緩和が進むようなら、中小型株が大いににぎわった05年と同じような展開になる可能性がある」

■キーワード(3)投資家のリスク許容度

「先に述べたように、投資家のリスク許容度は改善の兆しが顕著になってきている。経験則からは、主力株が大きく動いた後、3カ月程度遅れて中小型株も活況になる傾向があるため、13年2月ごろから市場の底上げ機運が高まってくる可能性はあろう」

■注目セクター

「当面は政策の恩恵を受けると思われる金融・不動産、インフラ関連、為替敏感株などが中心になると考えている。その後は規制緩和などの成長戦略の恩恵を受ける銘柄や、新たな成長ドライバーで注目を集める成長株に投資家の関心は移ると予想している。また、モバイルブロードバンドや教育、省エネ、M&A(企業合併・買収)仲介、IPO銘柄などにも注目している」

■2013年の中小型株指数見通し

「企業業績はリーマン・ショック後の経営改革、体質改善が実を結び、09年3月期を底に順調に回復してきている。14年3月期はラッセル/ノムラ・スモール・キャップ指数構成銘柄ベースで、15%経常増益が見込まれる。一方、JASDAQ市場のPERは14年3月期予想ベースで12倍程度にとどまり、過去の平均レンジ(PER15-33倍)を下回っている」

「中小型株を取り巻く環境を踏まえると、PERは12倍から13倍といった具合に、少なくとも1割は切り上がるだろう。これに利益成長率を加味すると、本年の中小型株指数は25%程度の上昇の可能性もあると思われる。マザーズ指数など、よりリスク感応度の高い小型株指数は、それより大きな上昇を遂げる可能性がある」

「さらなる金融緩和政策が見込まれることも小型株にとってフォローだ。過去、金融緩和策が実施された期間では、中小型株が大型株をアウトパフォームしてきた。金融緩和による流動性の供給は、中小型株上昇のエネルギーになる」

■IPO市場

「IPO件数の回復本格化に伴い、中小型株への関心が高まってきていることから、本年も堅調推移が見込める。本年のIPO件数としては60社を超えるとみている。近年のIPO銘柄はリーマン・ショックを乗り越えてきたわけで、結果的に質の良いものが多かった。本年7月に予定される東証への現物株市場一本化により、より銘柄の質の向上が期待できる」

 

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