信用取引無限回転開始から約1カ月 今後はより早めの損切りも必要に

概況


「ああっ、想定をまた誤ってしまった」と岡三オンライン証券の池田嘉宏社長がつぶやいたかも知れない。なぜならば、岡三オンライン証券が1月18日に、3月1日からの信用取引金利また貸株料率などの変更について告知を掲載したからだ。

 今回は、この岡三オンライン証券の告知を切り口に、今年からスタートした信用取引無限回転について、杉本課長流に斬ってみよう。

 今回の発表は、岡三オンライン証券の制度信用取引の買い金利が、大口優遇金利2.05%、通常金利2.80%だったものを、大口優遇を無くし、一律2.60%にするということだ。また、貸株料率については、一律1.15%を2.00%に引き上げられる。

 大口優遇の対象顧客は、前月の20日時点の買い建玉が3億円以上または、毎月21日から翌月20日までの新規買い建約定代金合計が3億円以上となっている。

 今回の金利大幅引き上げは、同社が1月11日に発表した「信用取引制度改正後の当社のお客様の取引状況について」で、売買代金大幅UP、資金回転数は、12月比で2倍以上になったとの事が原因だろう。

 3億円以上の買い建て玉を保有するには、最低でも1億円の資産が無いと無理なので、本当の大口顧客に限られるが、1カ月間の新規買い建約定金額の合計が3億円というのは、今回の信用取引無限回転によって、かなり資金の少ない顧客でも簡単に達成できる事になってしまったからであろう。想定以上に大口優遇の対象者が増えてしまったので、大口優遇制度を廃止する事を決めたのであろう。もともとに同社では1.4倍程度の増加を見込んでいたのに、結果としては2倍を超える増加となってしまったらしい。また、この数字は1月10日までの数字なので、まだ信用取引の無限回転に顧客自身が慣れていない状況の数字なので、現在ではもっと増加している可能性も高いはずだ。

 以前にも同社は大口顧客でディスカウントし過ぎた手数料の引き上げを行っており、今回の件で2回目だ。あまりにも短期的な手数料や金利の改定は、顧客の信用・信頼を失わせることになる可能が高く、こんな事ばかりやっていると赤字体質からの脱却のハードルは高そうだ。

TOPIX 日足6カ月

TOPIX 日足6カ月

 同業他社も同様な取引状況の開示をしており、SBI証券では、1月17日現在で、信用取引の約定金額1日平均は1.75倍になっているそうだ。同期間の東証1部の売買代金は約1.4倍にしかなってないので、信用取引無限回転の好影響であろう。

 また、松井証券でも18日までの集計で、12月の2.3倍になっているそうだ。これは、手数料・金利無料の「1日信用取引」の影響も大きいようだ。

 杉本が開始前に指摘したとおり、信用取引無限回転により、約定代金の増加は目覚ましいものがあるようだ。

 昨年の野田前首相の解散発言からスタートした「安倍トレード」によって円安・株高の大きなトレンドが出来、42年ぶりに11週間連続で日経平均株価が上昇する株式市場が堅調なことによる影響も大きいとは思うが、やはりこれだけの伸びにはならないはずだ。

 また、岡三オンライン、SBI証券の発表にもあるとおり、回転数のより高い顧客の収益の方がもうかっている点に注目して欲しい。当然、やられ玉、しこり玉を抱えて回転率の上がらない顧客に比べて、買い建て玉が上手く利食い出来て高回転となっている顧客の方の収益が高いのは当たり前との声もあると思うが、やはり信用取引については回転させる事が、非常に重要だ。

 もともとに現物取引に比較して、金利等のコストが掛かるので、短期的な取引に向いている信用取引であるが、今回の信用取引無限回転によって、より短期取引がしやすくなったはずだ。今までは、返済してしまうと次の新規建てが出来ないので、1日の中でも出来るだけ大きな値幅を取ろうとしたはずだ。しかし、信用取引無限回転の場合は、欲張らずに細かい利益で決済しても、すぐにその資金が次の取引に使えるので、あまり欲張る必要がない。このように、少ない利益であっても、小まめに利益を確定し、逆に自分の思惑と違った場合、すぐに損切れば、別の取引が開始出来るので、利食い・損切りが早めに出来るはずだ。空売りの場合、中・長期の投資であっても信用取引を使う必要があるが、買いの場合は、信用取引での中・長期投資は現物に比較してコスト面で不利だ。

 さすがに、上昇相場が無限に続くことは無いので、今後株式市場が横ばいや下落局面になったときでも、信用取引でも買い建て玉の損切りをためらって、しこり玉として保有せず、早めに損切り、次の取引に備える事が出来る投資家こそが、生き残れる投資家に成るであろう。

戻る