証券業界地図に変化 銀証連携で「日興」も台頭

概況


「みずほ」証券営業店 国内トップの顔も

金融機関といっても、銀行は“農耕型”、証券会社は“狩猟型”で、体質は水と油。故に銀証連携はなかなかうまくいかない――というのがこれまでの定説だった。

ただ、例えば、5大証券の過去3カ年(2011年1月-13年12月末)のIPO(新規上場)引受幹事参入件数を見ると、みずほ証券の99件を筆頭に、SMBC日興証券(87件)、野村証券(81件)、大和証券(64件)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(62件)という順。

IPO主幹事獲得件数では、さすがに野村証券が27件とトップだが、続いて、大和証券、みずほ証券、SBI証券がそれぞれ6件で2位タイ。3位はSMBC日興証券の5件といった具合(13年実績)。銀行傘下のみずほ証券、SMBC日興証券の健闘が光る。

三井住友(8316) 週足

三井住友(8316) 週足

「三菱UFJMSも銀行系といえるが、外資が入っているせいか、効率重視で大型案件の獲得指向が強い。SMBC日興は銀・証のみ一体。中で、みずほは“ワンみずほ”の号令の下、銀・信(信託銀行)・証が連携して、ベンチャー、中小・中堅から大企業案件までカバーする動きを見せている。少し前まで“ワンみずほ”は掛け声倒れに終わっていたが、ここにきて個々人がグループ全体の利益を考え行動する意識が浸透してきたようだ。この意識変革は結果的に顧客のためになる」(市場関係者)といった声が聞かれ、一部関係者の間でみずほは目の離せない存在になりつつある様子。

参考までに、ワンみずほで連携して成長を支援した例としては、ジェイアイエヌ(3046)が挙げられる。グループ内ベンチャーキャピタルが早い段階で投資し、IPO時にはみずほ証券(当時は新光証券)が主幹事に。その後も間接金融、直接金融などをグループで対応した。

そのみずほだが、意外にも証券店舗数は昨年11月時点で「279店」と国内ナンバーワンという顔を持つ。営業支店そのものは112店だが、みずほ銀行と連携して銀行内に構える証券店舗「プラネットブース」が167店に及び、2位の野村証券(185店)以下を大きく引き離している。

ところで、株式市場の“華”であるIPO。

IPO主幹事証券の1案件当たりの株式配分シェアは、昔は6-7割だったが、最近は8-9割に上昇している。全体的にIPO案件が小粒化し、1件当たりの手数料も小粒化しているためだ。

当然、副幹事証券以下の配分シェアは低下し、今では副幹事証券でもシェア10%を獲れればいい方で、シェア7-8%のケースが増えてきている。1案件当たりの引受証券の数自体も昔に比べ少なくなってきている。

ネット証券はほぼ必ず引受証券に組み入れるようになってきているため、SBI証券やマネックス証券は何もしなくとも、一定割合は配分される“おいしいポジション”にあるが、それ以外の証券会社は銘柄発掘が不可欠。

野村証券がこのままIPO主幹事シェアで独走態勢を保つのか、それとも大和証券や、銀行系列証券などが追い上げるのか。ちなみに“大物狙い”の三菱UFJMSは、2016年上場ともいわれている「JR九州」のIPO主幹事を獲得したようだ。

投資銀行業務実績 2012年4月1日-2013年3月31日
■M&A公表案件   
順位 社名 件数 取引金額(億円)
1 みずほFG 146 49,727
2 野村証券 129 45,807
3 三井住友FG 118 22,585
4 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 106 41,414
5 KPMG 82 9,499
■国内公募債総合 ※新規公開株式、既公開株式、転換社債型新株予約権付社債の合算   
順位 社名 引受金額(億円) シェア(%)
1 みずほ証券 29,764 20.9
2 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 28,193 19.8
3 野村証券 25,902 18.2
4 大和証券 21,186 14.9
5 SMBC日興証券 16,516 11.6
■国内エクイティ総合 ※普通社債、投資法人債、財投機関債、地方債(主幹事方式)、サムライ債、優先出資証券の合算   
順位 社名 引受金額(億円) シェア(%)
1 野村証券 5,286 23.8
2 大和証券 4,766 21.5
3 みずほ証券 3,213 14.5
4 SMBC日興証券 2,790 12.5
5 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 2,456 11.0
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