話題銘柄をテクニカルで斬る 「春の嵐」のようなウクライナ紛争の突風! これを株式市場はどう受け止めるのか?

概況


現下のウクライナ情勢を過去の歴史に学ぶとすれば、ロシア危機だ。ロシア危機は、1997年のアジア通貨危機を発端にして世界景気が大きく後退、ロシアの主要な輸出産品価格が大きく下落しロシア経済を悪化させ、98年8月17日に、ロシアがルーブルを切下げ(対ドルで最大24.7%の下落容認)、民間対外債務を90日間支払猶予(モラトリアム)することを宣言したことに端を発した。

これにより、ルーブルが急落、8月26日には対ドル取引の不成立を宣言し、8月27日には為替取引を全面的に停止した。そして、9月7日には対ドルの取引を再度停止したことにより、1㌦=20ルーブル台へ下落し、ルーブル建て国債は債務不履行(国債償還を5年延期する事実上のデフォルト)となった。

また、この危機により、米国債売り・ロシア国債買いという裁定取引が破綻(はたん)し、LTCMなど大手ヘッジファンドが経営危機に追い込まれた。債務支払い停止を経て資本の流出、ルーブル下落、ロシア経済の混乱、金融不安に伴う株価下落、投資方針を量から質へ転換した資本の移動、ヘッジファンドの倒産と連鎖し、外国為替市場では、LTCMの破綻をきっかけに、キャピタル・フライトでグローバル・キャリー・トレードの一斉巻き戻しが起こり、ドル円相場は2日間で14円以上の円高となり、日経平均株価も下落した。

また、ロシアが一時的な混乱からすぐに回復するとみたファンドの予想を裏切り、事態が悪化していったことから、多大な損失を被ったファンドが倒産の危機に陥り、これも金融危機を拡大した。アメリカ合衆国における 1,000億ドル規模の巨大ヘッジファンドであった LTCMは市場中立型ファンドと呼ばれ、市況が一時的に変動しても、いずれ(数時間―数日の範囲で)元の水準に戻るという性質を利用するタイプ。ロシア危機に際して、一時的にロシア関連の株が下落しても、いずれは元に戻るとしてポジションを取った。しかし、アジア通貨危機とロシア財政危機を経験した投資家は、一種の正常判断を失ったパニックにより安全な米国債などを指向して、ロシア市場に回帰することがなかったのだ。

LTCMはポジションを取っていた中南米の株価も下落し、長期間に渡って損失が拡大、結局破綻に追い込まれた。これらヘッジファンドは、世界各国の金融機関と多額(100兆円単位)の金融取引契約を結んでいたため、破綻に伴い世界経済に恐慌へもつながりかねない深刻な影響を与えた。アメリカや日本などは短期金利の急速引下げ(日本ではゼロ金利政策にもつながった)と中央銀行などからの資金貸し出し(銀行への公的資金注入も含む)を行い、この危機を乗り切ったのだ。

今回は、ウクライナ問題による米国、欧州連合のロシアに対する経済制裁発動が、ロシア経済圏に限定された悪影響か、ロシアの対抗措置による欧州の混乱で「リスク・オフ」が強まり、世界の株式、債券などへどのような影響が及ぶのか不透明である。

ロシア関連株の動きから考えたい。同関連株は日経平均株価の全銘柄と言っても過言ではないが、総合商社の豊田通商(8015)、プラントの千代田化工建設(6366)、重電の東芝(6502)、重工の川崎重工業(7012)で考える。異論はあるだろうが、この4銘柄だ。残念ながら、ウクライナ紛争のような突発的事件をチャートは予見できない。「チャートは万能ではない」、未来は予見できないが、参考にはなろう。一般論として、ローソク足とラインチャートではチャートの形状が異なり、結論の株価目標も異なるが、今回はデータ期間が過去3年間と長いのでラインチャート(週足、週末終値ベース)を用いる。分析ツールは、週足の13週移動平均線と同乖離(かいり)率を使用する。結論は、当然な結果で「様子見」、すなわち材料消化難であった。

豊田通商(8015) 下降トレンドで押し目待ち

豊田通商(8015) 週足

週足は、2013年10月の高値2,730円が13年5月の高値2,892円を超えられず、13週線のベクトルは下向きに転じた。13年11月以降、13週線が週足の上値抵抗線になり、14年2月に2,294円と下落、13年8月の安値2,263円は割り込まず反発、3月に入り2,580円と戻したが、下降トレンドに変化は見られない。見送り。2,300円割れで打診買い。目標値は13週線水準の2,500円。

千代田化工建設(6366) 上昇トレンド継続も調整完了待ち

千代建(6366) 週足週足は、チャートの入門書向きの2段階の上昇トレンドの途上だ。1段目は2011年12月の安値748円から12年10月の高値1,263円まで。ここから反落して、13年4月に安値974円を付け、ここを起点に2段目の上昇相場で14年1月に1,621円の高値を付けた。ここから再び、反落、足元の週足は13週線を割り込み調整入り。13年4月の安値974円と9月の安値1,110円を結ぶ下値支持線を引くと、14年3月に週足はこの下値支持線に接近する気配を見せている。様子見。週足と13週線とのマイナス乖離10%超、1,300円割れの押し目待ち。目標値は2番天井狙いの1,621円。

東芝(6502) もちあい放れ接近で様子見

東芝(6502) 週足週足もチャートの入門書向き、三角もちあいの美しさだ。上辺は2013年4月の高値544円と14年1月の高値502円を結ぶトレンドライン。下辺は12年9月の安値250円と13年11月の安値404円を結ぶトレンドラインである。14年に入り、13週線のベクトルは上向きからフラットになり、週足と13週線との乖離率もゼロ近辺で推移し、もちあい放れ接近を示唆。様子見。13年8月の安値391円接近で打診買い。目標値は500円。

川崎重工業(7012) 長期上昇相場に転機か、様子見も

川重(7012) 週足週足は、これもチャートの入門書向き。2012年9月の大底安値155円を起点に、週足は13週線を下値支持線にして上昇を続け、14年1月に488円の高値形成と3倍の大化け。14年3月に入り、週足は155円と13年6月の安値305円を結ぶトレンドラインを初めて割り込んだ。長期上昇相場に転機の可能性がある。足元、13週線(434円)とのマイナス乖離率は、拡大を続け20%に迫る動きだ。様子見。370円割れで打診買い。目標値は13週線水準の430円。

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