知らないと怖い不動産市場の裏 稼働率改善だけでなく既存物件賃料も上昇の兆し

REIT 概況


中小型REITに投資チャンス アジア系ファンドが動く

2月は初旬からマーケットが荒れていた。さらに3月もロシアとウクライナ問題でボラティリティが上昇している。ただし、先日発表されたアメリカの2月の雇用統計を見る限り、労働市場には寒波の影響は、ほとんど見られず、堅調に推移しており、市場の予想以上に改善していた。

発表によると、2月の失業率は6.7%と0.1ポイント上昇したものの、景気の動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は、前月比17万5000人増えていた。ウクライナ問題が解決しても中国経済の減速が次の懸念事項になりそうだが、アメリカやヨーロッパを中心に先進国では景気回復が継続しており、引き続き株価や不動産は良い投資対象になりそうだ。

先日の日経新聞でも記事になったぐらい、不動産市況は回復してきている。三鬼商事が先週発表した2月までのオフィス市況を見ても、これまで下落していた既存物件の募集賃料が、いよいよ上昇してきた。

これまで空室率の改善が続いてきたが、ついに、新規物件だけではなく、既存物件の募集賃料が上昇してきている。これまで既存物件においては、募集賃料の低下はあるものの、空室率が5%を切ると、ビル運営の観点から募集賃料を下げる必要性がなくなるので、そのうち下げ止まるのではと思っていたが、いよいよ賃料の上昇基調に入ってきた感じだ。添付のグラフを見ても分かる通り、既存ビルの賃料はきれいな底ばい後、上昇基調に入ってきている。

オフィスビルの入居率だけではなく、都心のビジネスホテルの稼働率が高まり、東京都心の2月末のオフィス空室率は4年9カ月ぶりの低水準となっている。新築ビル竣工(しゅんこう)時の契約面積が100%に近い状態が続いている。国内外のビジネス客が宿泊するホテルでは利用者が増加し、客室単価も上がっているようだ。今後完成予定のビルも入居企業が決まっているところが多いため、空室率は一段と低下するとの見方が増えている。

三菱地所が手掛けた中央区のフロントプレイス日本橋は2月末、満室で竣工している。さらに、先日、全面開業で話題になった大阪市内の超高層複合ビル「あべのハルカス」も、オフィス部分は約9割で入居企業が決まっている。着工当時は、あんなに運営を危ぶまれていたのがウソのようだ。当日は18万人もの入場者数となっており、日本の景気回復を物語っている。さらに、今年5月に完成予定のマッカーサー通りにある虎ノ門ヒルズは、2月時点で8割の入居企業が決まっている。6月完成予定の日本生命大手町ビル(仮)も、満室の稼働を見込んでいるようだ。

仲介業者の話では、事務所ビルの有効利用に伴う、築浅のビルへの移転が行われており、企業体力の改善から今後もこの動きは続きそうだ。例えば、日本水産は今夏に、本社を港区に完成予定の新築ビルに移転する予定となっており、「部署の垣根を低くし、コミュニケーションのとりやすいレイアウトができるビルを選んだ」とコメントを出している。

築浅のビルだけではなく、既存のビルの稼働率や募集賃料の改善が見込まれるような実需ニーズに対して、4月以降、外資系ファンドの新たな資金が、東京を中心に日本に入ってきそうだ。

本日会ったアジア系ファンドによると、アジアの不動産用に1,000億円分のファンドが立ち上がる予定で、「これまで売却一辺倒のポートフォリオを今後は拡大させていきたい」と息巻いていた。結果的に築浅・大型ビルへの移転ニーズが満たされた後は、これまでのように中小型ビルへのニーズが生じると思っている。賃料や資産価格の上昇によって、これまでボックス相場を演じてきたJ―REIT(不動産投信)群が動き始めるのではと強く思っている。

ゆっくりとタイミングを見計らって投資するのがいいのではないか。

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