取材の現場から 「ガイドライン」改訂する経産省の意図 トヨタの円高協力金が槍玉に

概況


経済産業省が1月31日に「自動車産業適正取引ガイドライン」の改訂を行った。経産省は16業種で同種のガイドラインを策定している。独禁法や下請法の条文だけでは判断しづらい契約や発注の仕方について、経産省が自らの考え方を示したもので、その自動車業界版だ。

トヨタ(7203) 週足

トヨタ(7203) 週足

今回の改訂は、4月の消費増税を踏まえたもので、下請け業者が消費税を円滑かつ適切に転嫁できるように、その留意点を追加するためのもの。併せて、下請け事業者に対するヒアリングなどを行い、新たな問題取引を提示し、それに対する経産省の判断も盛り込んでいる。

さて、このガイドラインだが、自動車業界関係者の間で話題になっている部分がある。

トヨタ(7203)が下請けに求めた『円高協力金』が俎上(そじょう)に載せられている。しかも、この行為は違法だとも書かれている。経産省は、トヨタの優越的地位の乱用にくぎを刺したのだ」

円高協力金は、2011年秋にトヨタが部品メーカーなど取引先に求めた〝値下げ”のこと。「これまで円高による為替差損はすべてトヨタが被ってきたが、今回の異常な円高に際し、取引先にも負担をお願いしたい」という趣旨で、1-1.5%の納入価格引き下げを求めたと伝えられる。

「円安に転換した今、一部の部品メーカーから、『円高協力金を返してほしい』という声も聞こえてくる」(前出・関係者)。

ガイドラインを読むと、「大幅な為替変動時に協力依頼と称して大幅な原価低減を要求すること」について、「発注後に親事業者が予算単価・価格に基づき一方的に代金を減額することは、下請け事業者に責任がないのに下請け代金を減額することを禁止した下請法第4条第1項第3号の代金減額に該当し、下請法違反となる」と書いてある。違法だと断言。

「経産省は産業界を所管しているが、産業界に対する規制などを所管しておらず、行政指導も今はできないので、産業界に対する影響力が大きく低下している。そこで、こうしたガイドラインをもとに、産業界に対する影響力を高めたい意欲を持っている」(経済ジャーナリスト)。

自動車以外では、2月25日に繊維業界のガイドラインが公表された。今後、素形材、産業機械・航空機など、情報通信機器、情報サービス・ソフトウェア、広告、建設業、トラック運送業、建材・住宅設備産業、放送コンテンツ、鉄鋼、化学、紙・加工品、印刷、アニメーション制作業が順次、ガイドライン改訂を公表する。経産省の〝野心”が垣間見えるだろうか――。

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