回転ずし業界 下剋上へ 「くら寿司」「元気寿司」新たな2強候補

概況


「小が大を飲み込む」構図も 円安で体力勝負の側面

1兆2,000億円に及ぶすし市場の半数を占める「回転ずし」。そのほとんどがいわゆる100円ずしだ。この業態も円安進行で業界順位が入れ替わり、「下剋上」が起こるのではといわれている。

100円ずしは、1位 あきんどスシロー(非上場)、2位 カッパクリエイト(7421)、3位 くらコーポレーション(2695)、4位 はま寿司(ゼンショー傘下)、5位 元気寿司(9828)の順。

中で「『スシロー』はファンドが保有してからオペレーションが崩れ、ファンドは売りたくても売り先が見つからない状態。『かっぱ寿司』は財務体質が著しく悪化し、債務超過も懸念される状況。『はま寿司』は親会社のゼンショー(7550)次第。ゼンショーは主力のすき家と買収したマルヤがさえず、はま寿司とジョリーパスタ(9899・2部)が支えているようなもの。ゼンショーは自己資本比率20%未満でもともと財務体質脆弱(ぜいじゃく)。すき家不振のあおりで、はま寿司の出店資金が削られ、成長ペースが落ちる可能性がある」(業界関係者)との見方が出ている。

となると、残る「くら寿司」「元気寿司」が2強候補ということになる。このうち「くら」は、“無添加”をウリにしているため同業買収に不向きとみられ、総店舗数の10%をメドにした地道な出店が続くとみられている。

一方、元気寿司はどうか。以前は不良店舗を多数抱えていたが、グルメ杵屋(9850)と資本・業務提携し不良店舗をうどん屋に変更して収益改善、減損処理回避という手法でバランスシートの崩壊を乗り切った。

これだけにとどまればすし屋としては縮小均衡だが、おととし、米卸大手の神明とも資本・業務提携し、神明が筆頭株主に。100円ずしの新型店「魚べい」も当たり、ここもとは寿司部門の売り上げも伸びるようになってきている。

神明といえば、昨秋、カッパクリエイトの筆頭株主となり、傘下の元気寿司とカッパクリエイトが業務提携した。

業界関係者からは「現行の売り上げ規模はカッパの方ががぜん大きいが、両社の提携内容を見ると、人事面は元気寿司がカッパクリエイトよりも上位にあり、“小が大を飲み込む”構図。今後、カッパクリエイトの店舗数は現在の半分程度(300店程度)ぐらいまで減る可能性はある。将来的にかっぱ寿司から魚べいへの転換もあり得る。回転ずし業界において今後、元気寿司の存在感が高まる流れが生じつつあるように感じている」との声が聞かれる。

中期的な円安観測も再編を後押している。一部試算では、コメ価格が年5%ずつ低下していくと仮定すると、「業界優良児のくらコーポクラスでも、利益を確実に出せるのは1ドル=120円ぐらいまでか。1ドル=130円までいくと、下手をすると赤字になるのではないか。このほかの回転ずしチェーンはいわんや。対策が求められてこよう。参考までに、100円ショップ業界では、セリア(2782・JQ)も1ドル=120円ぐらいまでなら耐えられようが、キャンドゥ(2698)は1ドル=115円ぐらいでかなりキツクなろう」(市場関係者)。

この“前提レート”は条件次第で多少変わってくるが、いずれにせよ、売価が決まっている100円業態は円安進行に従い、業界下位から消え、トップクラスは残る展開が予想されている。

100円業態に限らず、「牛丼」「コンビニ」「ピザ」、サイゼリヤ(7581)ニトリ(9843)など、近年、低価格路線、定額路線を走ってきた企業には「円高」で利益を稼いだというところも少なくなく、今後、経営力が問われる。

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