立会外分売ラッシュの理由 大株主に節税指向強まる

概況


最近の立会外分売ラッシュが、ちょっとした話題になっている。20日朝方、東京一番フーズ(3067・東マ)の分売が実施されたが、なおこの先、12月初めにかけて8銘柄の実施が予定されている。

分売といえば、かつては、「1部指定を目指す東証2部企業が株主数増加など基準クリアのために実施する」ケースが目立ったが、実施予定8銘柄で東証2部は、きちり(3082)のみ。ほかは、東証1部の日本空調サービス、テンアライド。マザーズの駐車場綜合研究所。JASDAQのソーバル、日本サード・パーティ、テーオー小笠原、ミマキエンジニアリング、といった具合だ。

日進工具(6157) 日足6カ月

日進工具(6157) 日足6カ月

そもそも「立会外分売」とは、大株主の保有株や発行企業の自己株式を、均一の条件で不特定多数の投資家に売り出すことを言う。有価証券届出書提出の求められる「株式売り出し」よりも小規模なため、簡易な手続きで済む。株式売り出しの際のように、売り手(売出人)の開示も求められないが、試みに、19日朝方実施した日進工具(6157・JQ)に話を聞いてみたところ、「当社役員と元役員から相続した方」との答えが返ってきた。

分売実施各社のリリースで「実施目的」の項目をチェックすると、判で押したように「当社株式の分布状況改善及び流動性向上を図るため」といった表現が見られる。もちろん、「当社の個人大株主が軽減税率適用廃止前の年内売却で節税を図るため」などと記すわけもないが、どうやら、楽天の三木谷浩史社長やソフトバンクの孫正義社長に代表される「オーナー経営者による持ち株(の一部)売却ラッシュ」と軌を一にする流れとみてよさそうだ。

分売ばかりではなく、ここにきて株式売り出しも急増傾向にある。前週末15日から19日までの3営業日での株式売り出し発表は、J―REIT(不動産投信)を除いて9銘柄に達する(同時に公募増資を実施する銘柄を含む)。

アサンテ(6073) 日足6カ月

アサンテ(6073) 日足6カ月

中で、大株主でもある社長と専務の株式売り出しと同時に、「東証1部への指定申請の予定」も発表したのがアサンテ(6073・2部)。1部指定承認以前の「申請」や「申請予定」段階で発表するのは最近の流行(先の塩水港精糖など)でもある。大株主の節税ニーズについて、同社に率直に聞いてみたところ、「そうした側面が『全くない』とは言わないが、基本的に必要のないこと。株式売り出しはあくまでも、株式の分布状況改善や流動性向上によって東証1部指定の基準を満たすために行うものだ」としていた。

結局のところ、事の真偽は当事者にしかうかがい知ることができないが、こうした流れは、まだしばらく続く可能性が高そう。とはいえ、これらはあくまでも「期間限定の需給悪」。最長でも年内に通過することは間違いない。むしろ逆に、分売や売り出しの実施銘柄の方が、悪材料出尽くしムードにつながりやすい面もある。先行きの1部指定期待よりも需給懸念で売られたアサンテあたりは買い下がり候補に。日進工具も、PER 8倍そこそこで、PBR(株価純資産倍率) 0.7倍だ。

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