【深層】を読む 荒れる10月”見極めポイントは?! 増額修正の多寡、好循環保つカギ

【深層】を読む 概況 連載


日経平均 月足10年

日経平均 月足10年

軽減税率廃止に波乱の芽

10月は相場にとって経験則から「荒れる」という印象がある。米予算を巡る動きも、その一因かもしれないし、ヘッジファンドの決算を控えた動きに伴うものも一因かもしれない。いずれにしろ、何らかの理由で相場のボラティリティーが高まる季節性があるようで、投資家としては、心に留めておきたいところだ。往々にして、相場が荒れる要因は「予想外」の出来事が起こるためであって、現時点で想定できることには含まれていないことが多い。それだけに、事前にそれを予想するのは不可能だ。しかし、あえて現時点で予想できることについて考えるのにも、もちろん意味がある。とっさの行動の際に、マーケットが反応する速度や規模が行き過ぎているかどうかの判断が付く場合があるからだ。

10月の要因としては、1つに企業業績の発表シーズンがある。事前にアナリストや、それを報道するメディアが活発に動くこともあって、業績に注目が集まらざるを得ない雰囲気が醸成されてくるだろう。現時点で明らかなのは、経営者側の慎重姿勢と、アナリストやマーケット側の比較的楽観姿勢の乖離(かいり)だ。特に大手製造業の業績を左右する為替相場については、この3カ月ほどは安定した動きを続けている。しかも、企業が想定している為替レートからは、いずれも円安方向で安定しており、この辺にアナリストやマーケットが期待する業績上方修正の源泉がある。一方で、経営者側は為替レートに頼った好業績が持続できるかに不透明感が強く、その点で業績上方修正まで踏み込めない気持ちが持続しているのかもしれない。ここで経営者側が一歩踏み込むようなら、本格的な心理の好転が、ゆくゆくは従業員の給料アップにもつながり、活発な設備投資も誘発し、アベノミクスが求める経済の好回転に繋がることになるだろう。しかし、経営者側が慎重姿勢を続けるならば、経済の好回転など望むべくもない。つまり、この中間決算で企業が業績上方修正に踏み切るか否かによって、この先半年程度の景気の動向が読める大きな要因が出ることになる。

一方、証券市場内部の要因としては、今年年末で株式(投信)の配当や譲渡所得などの10%軽減税率が廃止されることがある。その代わりに、日本版ISA(NISA)が年明けから開始され、以後5年で、年100万円、最大500万円の非課税投資が可能になる。これまで11年間にわたって続いていた株式(投信)の配当や譲渡所得などの軽減税率が廃止されることになるが、影響は小さくないと考えている。株式だけでなく、投信には、分類上では株式投信とされるが、実際は内外債ファンドも含まれているので、金額的には、かなりのものになるからだ。株式だけを考えても、これまでに含み益が出ている分に関しては、今年末までに売却すれば税率は10%(+復興特別所得税)で済むが、来年になれば20%(+復興特別所得税)がかかる。当然、年内に売却を考慮する向きが増えるのは避けられないだろう。年末に向けて売り圧力が高まる局面が発生するかもしれない。相場が力強く上昇しているときには売り惜しみの感情が支配するが、相場が停滞していると、「もうかっているうちに、税金が安いうちに売ってしまおう」というインセンティブが働いてしまうからだ。

来年の消費税引き上げに際して、これまでにも「駆け込み需要」と「その反動」を避けるための方策が実施されている。9月末までに注文住宅や結婚式場の予約をすれば、引き渡しが増税後でも税率5%が適用される経過措置はその一例だ。とは言うものの、消費増税による個人消費の低迷への警戒感が強まる局面もあるかもしれない。相場環境、相場心理によるところが大きいとはいえ、リスク要因として意識しておくべくだろう。

投資家としては、さまざまな要因を吟味しつつ、突然の事態に備える時期だと考える。

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